無風老人の日記

価値観が多様化し、自分の価値判断を見失った人たちへ
正しい判断や行動をするための「ものの見方・考え方」を身につけよう。

ショートショート⑨生活

2018年12月23日 | Weblog
前回の⑧景気での世論調査・報道の仕方を追伸で批判したが、言葉足らずだったので、もう一言、追加しておく。

景気回復の実感あるか

は、「景気は回復しているけれど、君たちに分かるかな~」といった上から目線の問いかけなのだ。

イザナギ景気を超える景気回復を「実感」しているか? 実感できていないとしたら、君たちの努力が足りないからだ、自己責任だ。

景気についての問い合わせは「アベノミクスによって景気は良くなったか悪くなったか」の質問形式にすべきだ。
テレビ・マスメディがその様な質問形式にしないのは、例えば悪くなったとの回答が多く出た時に、それはそのまま安倍政治の批判となるからだ。安倍様の不利になる結果が出てしまうような質問の仕方は絶対にしないのが今の日本のマスコミ。

まだ、世論調査の質問形式として「平和安全法制が出来たが、それによって日本は平和・安全になったという実感はあるか?」の「実感」の使い方ならまだ許せるが。(これも「実感なし」が多いと安倍批判になるので、日本のマスコミはこのケースでの「実感」との表現は決してつかわない)



さて、今日のタイトルの話に入る。

前にも話したように、日本は自由競争・弱肉強食の資本主義経済体制を「自由主義」と呼んで美化していたが、次第に資本主義の欠点に気が付き「終身雇用制」「年功序列」と言った日本的な修正を加えて世界第2位(今は3位?)の経済大国までにのし上がった。

(余談)日本も資本主義経済体制になった当初は「生き馬の目を抜く都会」が出来あがり、「稼ぎに追いつく貧乏なし」だった江戸時代までの経済体制が「働けど働けど 猶わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る」(石川啄木「一握の砂」)に変容していった。

それを救済したのが日本独自の「終身雇用制」と言える。

欧米では、景気が悪くなるとペイオフという解雇を行なった。これには「景気が良くなったら再雇用してやる」との条件は付いていたが、解雇された社員は1年先になるか、2年先になるか分からない景気回復をじっと待っている事は出来ないので、当然他の職を探してその職に就く。
日本では「終身雇用」の立場から景気が悪くなっても「解雇」せず、賃金カットや一時帰休・自宅待機などの方策で従業員を確保していた為、景気回復した時にそのベテラン従業員をそのまま使えた為にいち早く対応でき、経済大国になれたのだ。

最近、竹中平蔵氏らが「新自由主義」「市場原理主義」という昔の資本主義の欠陥をよみがえらせ、日本を世界第2位の経済大国にのし上げた「終身雇用制」を批判し、「やる気のある人が報われる社会」にしなければならない、と若者たちに「アメリカン・ドリーム」の幻想を抱かせ、未来に夢を持つ若者たちの支持を得た。

「終身雇用制」は植木等の歌とはチョット違うのだ。

🎵サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ・・・チョックラちょいとパー(馘)にはなりゃしねえ🎵

実際には会社内・職場内での目に見えない苛烈な出世競争が展開されているのだ。(自分の・家族の生活をより良くするために)

私は若い頃勤めた中堅問屋で営業を担当した。仕入先(大手メーカー)から値上げ要請があった時に、得意先(中小企業)にその値上げの理由を言ってお願いに回るのだが、どの得意先もなかなか“ウン”と言ってくれず、会社の上司からは「値上げ出来なかったら、出来るまで、その分お前の給料やボーナスから引いていくからな」と言われ、胃の痛くなる思いで値上げした記憶がある。
いくら終身雇用と言っても、社内・職場内・仕入先・得意先でそういったプレッシャーを経験&克服しながら出世していく(いい給料がもらえるようになる)のだ。


いずれにせよ、日本で働く人たちに「家族手当-配偶者手当・子供手当」「住宅手当」「マイホーム・ローン資金援助」「夏の会社保養所」等々の制度を会社側で設けて、働く人たちが「会社に就職して何年で結婚し、何年で子供を作り、何年でマイホームを建て、退職後は退職金で家族みんなで海外旅行を」といった生涯設計を描かせた「終身雇用制」だったのだ。


余談が長くなったが、話を元に(現実に)戻す。

景気回復期がいざなぎ景気を超え、来年1月で戦後最長の景気回復期の長さとなる。などという話は無視して、今の日本国民の生活の現状を挙げていく。

就職氷河期になって、大学は卒業したけれど3人に1人は就職できなかった。そんな時代を経て今や「非正規社員」は全労働者の43%を占めるに至っている。

その非正規社員の平均年収は176万円であり、年収200万円以下のワークングプアは、

となっている。

貯蓄ゼロ世帯


貯蓄ゼロ世帯は上の表の通り、20歳代で61%を占めている。

政府マスコミ報道の「失業率が減った」という非正規社員を含んだ数字や、「求人倍率が全国各地で1を超えた」に胡麻化されないで下さい。(「人手不足」を含め今回はコメント略)

若者のこの状態は、昔のアングラ・ソング

🎵工事終わればそれっきり お払い箱の俺たちさ🎵  
―――――(岡林信康「山谷ブルース」)


といった日雇い労務者と似た様な心境で有り、


🎵何でもやります 贅沢は言いません 

 頭を下げ 詫びを入れ

 すがる気持ちで仕事を貰い

 今度こそ まじめにやるんだ🎵

―――――(泉谷しげる「春のからっ風」)


といった切羽詰まった心境に若者たちを追い込む結果となっている。

その結果、最近の統計では20歳から29歳の死亡原因の50%超えが「自殺」となっている。

「そりゃ当たり前だろ、若者は体力的にも充実期にあり、病気で亡くなる事が少なく、また事故による死亡と言っても数は知れている。
だから「自殺」が若者の死因の半数を占めているのだ。」と考える人も多いのではないかと思う。

確かにそうなのかもしれないが、20歳代の若者が亡くなる原因が、半数も「自殺」というのは私には異常に思えてならない。

先に書いたように政府がののしる「終身雇用制」では若者が将来の夢を持てたのに、今の若者は将来に対し夢や希望を持てない状態になっている。

貯えもなく、日々生き延びていくのがやっとのギリギリの生活をしている若者、先の見通しも立てられない若者には、結婚することさえできず、ましてや子供を産み育て、マイホームを建てることは“夢のまた夢”となってしまっている。

先ず、上の様に安定収入を得られなくなって結婚できない若者が増えている。

第2子の壁

続いて、結婚しても、子供2人も育てて行く経済的余裕がない、とする家庭は88・5%に上る。

つまり、経済的理由(安定的な収入が得られない)で結婚できず、結婚しても経済的理由で子供2人は育てられない、といった状況が労働者の4割超えの非正規社員を中心に広がっており、それが少子化の一番の原因なのに政府はそういった国民の為の政策を何一つやって来なかった。「子育て援助資金」を民間の募金に頼ったり、介護は「家族のきずな」で、と言って「介護離職ゼロ」と口先で言うだけで、それを解消しようともしない。

(余談)東北大震災が起こった時、日本全国から6000億円超えに上る庶民の寄付金が寄せられた。
政府が子育て支援の寄付を民間に募った時に集まった金額はしばらくたって聞いた話では500万円程度だった。
「介護離職」についても、野党の「昨年も介護離職者は2000人も出ている」と「介護離職者ゼロ」を唱える安倍首相に問い質したところ、安倍総理は長々とドイツの介護の様子を喋りまくったあとに、「介護しながら働く人は55万人増えた」と自慢していた。

長くなるので、他人様のツイッターを載せて今日は終わりとする。

「働きながら介護できるようになった人が55万人増えたんじゃなくて、働きながら介護しなければいけない人が55万人増えただけ」

きょうはここまで、またね。





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