無風老人の日記

価値観が多様化し、自分の価値判断を見失った人たちへ
正しい判断や行動をするための「ものの見方・考え方」を身につけよう。

国民に当たり前の事を知らせない・必要な事を教えない日本のテレビ・大新聞

2016年12月12日 | Weblog
12月10日に私は昔の仲間の忘年会に出席するために少々遠出した。
長時間電車に乗るので車内で新聞でも見ながら行こうと思って駅の売店の新聞に目をやった。
各新聞とも一面トップの大見出しを白抜き等で掲げていた。
私は「何だろう?TPPか、年金か、カジノか、と今国会で強行採決が続いている法案の可決記事といったところかな?」と思いながら日本5大新聞の大見出しを覗いてみた。

そこには5大紙が申し合わせたように「韓国朴大統領弾劾案国会で可決」となっていた。

買って来て、この日記に貼り付け様かなとも思ったが、馬鹿らしくなって止めた。テレビ見るの止め、新聞購読を止めた私には新鮮な感じで気が付くのだろうが、テレビ・新聞で日常を過ごしているあなた(日本国民)には、珍しくもない記事(トップニュース)なのだろう。

そこで、東京新聞を買って電車に乗り込んだ。こちらは下に貼り付けておく。



詳細な文字起こしは止めるが、大新聞の一面トップ見出し「朴大統領の弾劾訴追案可決」で全面お隣りの韓国の記事で満たされている記事を想像しながら、この東京新聞の一面と比べてみてほしい。

流石に東京新聞も「韓国朴大統領の弾劾可決」を一面に載せてはいるが、見て分かる通り一面2段目の左欄に位置している。

日本の新聞であれば、この程度の扱いが正常な感覚なのだ。

あなたも日本国に住んでいる日本人であれば、テレビや大新聞から流れる報道を

「この今流されているニュースは自分の生活(家族・子供・孫の生活)にどんな影響を及ぼすのか、自分や家族の生活・将来にとって重要なのか否か」

と考える習慣をつけてほしい。

その意識を以って、東京新聞を見ると、

①経産省が、福島原発事故処理費用が2013年当初試算した11兆円から21・5兆円に倍増するとの試算を発表。

 被災者の損害賠償に充てる費用(2・4兆円)を原則すべての電力利用者の料金に上乗せする。
原発を維持するため、様々な形で国民負担が膨らむ。

あなたが個人であったにしろ、会社経営者であったにしろ、日本に住んでいる以上「電気料金」を払っているだろう。
他国の大統領弾劾記事と、原発事故処理であなたの電気料金が上げられますよ、という記事とどちらが日本国民にとって大切な記事だと思いますか?

②TPP発効見通しなく承認。

TPPは衆院通過後、9日(2016年12月9日)の参院本会議でも可決承認され、関連法も成立した。
TPPの発効には交渉参加12カ国のうち日米両国の承認が必要だが、米国の次期大統領が就任直後のTPP脱退を明言しており、発効の可能性が事実上消滅している中での承認となった。

発効の可能性が無くなったにも拘わらず、政府・与党は国民に十分な説明をしないまま承認を急いだ。


記事はこの後、安倍首相の「承認の意義」等を載せているが、いつもの数ある嘘の中の一つなので、他の機会にまとめて書くことにした。

このTPPも、その内容を端的に表現すれば次の様になる。

「(TPP参加は、国家の)主権を売る行為に等しい」(山本有三・現農林水産大臣)

「TPPバスの終着点は、日本文明の墓場」(稲田朋美・現防衛大臣)

いずれにせよ、日本国民であるあなたに重大な影響を及ぼすTPP国会承認成立と他国の大統領弾劾の記事のどちらが重要であるか、分かりますよね。

一つだけ、TPPに関しての国会質疑を載せる。

質疑(紙議員):私は全国を回って農業・畜産業者を調べてきました。(注:牛肉・豚肉は略)

愛媛は温州ミカン・伊予柑等柑橘類の全国一の生産規模です。
1991年のオレンジ輸入自由化後、ミカン農家は生き残りのために品質改良の努力をしてきたけれど、それでも離農は止まらなかった。
(注:このオレンジ輸入自由化の時も、政府は温州ミカンと輸入オレンジは差別化されている、差別化が働いている、国産ミカンの果汁は品質が高いから⦅オレンジが輸入自由化されても⦆影響はないと言って自由化に踏み切った。)
結果、安い輸入オレンジに押されて、自由化前1990年に139,700戸あったミカン農家は、2010年には57,200戸と半減してしまった。
ミカンは愛媛の基幹産業ですよ。
TPPで関税が撤廃されれば、更に影響を受けて地域経済や地域雇用を壊すことになるのではないか?


応答(安倍首相):まあ、「関税撤廃が原則」という中において、TPP交渉の中で、輸入オレンジについては国産ミカンが出回る時期である12月から3月に適用されている32%の関税について「即時撤廃」を回避しまして・・そして段階的に削減した上で8年目に撤廃することとされました。

ま、その上でですね、関税削減期間中に、重量が一定量超えて増加した場合には関税を引き上げる(という)政府側の措置も獲得しました。(注:もっと具体的な数字が知りたいと思いませんか?)

加えてですね、国産ミカンは食味や食べやすさが輸入オレンジと異なるわけでございまして、まあ、国産ミカンは(皮が)サッとむけるんです。オレンジは大変なんです。だから差別化が図られていることからTPPによる関税撤廃(の影響)は限定的と見込んでいる訳であります。


(注)私は確かオレンジ輸入自由化の時にもこの「差別化されているから大丈夫」との話を聞いており、「そうかもね」と思っていた記憶がある。ところが自由化されたことにより、前述の「ミカン農家の半減」という惨々たる結果をもたらしているのだ。

事実、事実ですね、今なぜわたしがそういうことを申し上げたかというと、事実、1991年のオレンジの輸入自由化の際にですね、国産ミカン生産が壊滅するのではないか?と、こう言われて居りましたが、そのようなことはなくてですね、現在でも高品質なミカンは生産を続いている訳でございまして、「コタツに入りながら食べるのはやはりミカンだなぁ」ということであろう(かと)こうも思う次第でありますが(注:会議場から笑い声あがる)
他方、関税撤廃によって長期的には国産ミカンについて価格の下落も懸念される事から、

総合的なTPP関連政策大綱に基づいて、(注:安倍首相はこう言った格好付けた言い回しが多いよね)

①高品質な果実の安定生産を可能にする生産システム

②生産コスト削減につながる高性能な共同利用機械の導入

③外食業者や加工業者による国産ミカンを活用した新商品の開発

等を実現していくこととしております。(注:もっと具体的な内容がほしいよね)

今回の補正予算にも必要な経費を計上したところで御座います。

引き続きこれらの対策を確実に実施をしまして、ミカン農家が安心して営農できる様に万全を期していく所存であります。(注:下線は政府が良く使うかっこいい言葉)


紙議員:ミカン農家は、そんなに安閑としていませんよ。
(オレンジの自由化以降)ミカン農家は生き残るために本当に必死の思いで今まで来たわけです。
その思いは本当に大変なものだった、と私は調査していて思いました。
ミカン農家は苗木から果実の収穫まで5~6年の年月を掛けます。TPPの段階的削減で関税が完全に撤廃される頃です。自由化の時に必死に生き残ったミカン農家も、このまま続けて行って大丈夫だろうかと不安で一杯です。
「今、先祖から受け継いだこの土地を自分の代で切らす(終わらせる)訳にはいかない。(だからTPPは止めてくれ!)」と涙ながらに訴えられました。


最後の方は元の原紙を見ずに書いたのでいい加減ですが、意訳したと思って勘弁してください。

最後に国が良く口にする「努力が足りない」という言葉の参考までに下の図を掲載しておきます。

≪アメリカのオレンジ農園≫


≪日本のミカン畑≫


実は日本の方にももう少し広いミカン畑の画像があったのですが、「ミカンの花咲く丘」で育った私の世代のイメージがこちらのミカン畑の方だったので、「日本のミカン畑」の代表として載せました。

わたしが何故この2枚を比較して載せたのか?分かりますよね。

続きます。