原田奈翁雄さんのこと

2024年07月24日 | 暮らし

今日、図書館で朝日新聞を読んでいると「声」欄に、
「戦争問い続けた編集者を悼む」という文章があった。
それを読んで原田奈翁雄さんが亡くなったことを知った。
私はそれから昨日までの朝日新聞の死亡記事を探して読んだ。
そして原田奈翁雄さんが、7月6日に老衰で96歳で亡くなったことを知った。

私が30歳の頃、毎週のように神田の径書房に通っていた。
そのときに暮らしていた団地での妻の友人が、径書房の本の読者で原田さんに私を紹介してくれた。
そして私は、神田にある径書房に遊びに行くようになった。
径書房に行くと、原田さんたちの仕事が終わるまで待っていて、そのあと飲み会になった。
径書房には常に読者が何人か来ていて、編集部にあるテーブルのところで雑談していた。
そして社員たちが7時ぐらいに仕事が終わると、私はみんなと一緒に近くの酒屋で、
アルコール類と乾き物を買ってきて楽しく酒を飲んだ。
そして9時前後に酒がなくなると近くの居酒屋に行った。

その頃私は、毎日小説を書いていた。
そして書いた小説を径書房に持って行くと、原田さんに「ここで読め」といわれた。
そこに来ていた径書房の読者の人たちの前で、私は自分の小説を読んだ。
そんなことを何回かしたが、私の小説はなんの形にもならなかった。
径書房のキャンプに何度か参加した。
忘年会でも酒を飲んだ。
原田さんが径書房の社長を辞めるあたりまで、私は行っていた。
原田さんが社長を辞める頃、私も会社を転職して径書房に行けなくなった。
会社の仕事も増えて、小説を書くことができなくなった。
息子たちも大きくなり、生活するためにも会社人間にならざるをえなかった。

原田奈翁雄さんともっと真剣に付き合えばよかった、と今頃反省しています。
原田さんと酒を飲んでいると楽しかった。
ただそれだけだったような気がします。
でも原田さんから、酒の飲み方だけはきちんと教わったような気になっています。
原田さんのご冥福をお祈りします。

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