純米燗オヤジの戯言 佐用の酒屋 地酒のDON

「完全発酵の純米酒を燗で呑む文化を普及させたい」そんな純米燗伝道師を自負する酒屋のオヤジ奮闘記。

純米酒・・・完全発酵って・・・何??

2012年10月29日 | 純米酒
純米酒は米と米麹から醸造する。

一般的なつくりの行程は・・・

洗米→浸漬→蒸し→精麹→酒母(酛)→醪(初添・仲添・留添)→上槽→滓引き→ろ過→火入れ→貯蔵→滓引き→ろ過→割り水→火入れ→瓶詰め→出荷

このような段階を踏む。


酒母には・・・

乳酸を人工的に添加し

酵母以外の腐造菌等を淘汰し(厳密には繁殖しにくくする)

腐造のリスクを小さくした造り(速醸酛・高温糖化酛)と

腐造のリスクを抱えながらも

自然の乳酸菌生成を促す昔ながらの造り(生酛・山廃酛)などがある。


この酒母(酛)に

掛け米を3段階で掛け合わせながら(三段仕込み)

酒母で育てた元気で健全な酵母の力を借りてアルコール発酵させていく。


この発酵は

麹の糖化酵素が蒸し米のでんぷんを糖化発酵させ

同時にその糖分を酒母で育成した酵母が食べながら

アルコール発酵していくという

極めて繊細かつ複雑な発酵を

一つのタンク内で行う(並行複発酵)というものである。

これが純米酒づくりである。


この発酵のメカニズムは

同じ醸造酒である

ビール(単行複発酵:麦のでんぷんの糖化発酵と酵母のアルコール発酵を別タンクで行う)や

ワイン(単発酵:最初からブドウの糖があるので酵母添加のみでアルコール発酵が始まる)

と違い複雑であり

芸術的でさえある。

それ故に醪(もろみ)の

温度・ボーメ(糖度・日本酒度)・アルコール度・酸度・アミノ酸度などの

数値により醪の状態把握をするのは当然であるが

複雑な発酵が故に

より杜氏の人間的な経験と勘に左右される部分が多くなるのである。


そして強健な酵母の働きにより

並行複発酵がすすみ

純米酒造りは佳境を迎える。

糖を食べてアルコールを生成する酵母の働きで

ボーメはどんどん低くなり

アルコール度はどんどん高くなっていく。

ついには自らが造りだしたアルコールにより

衰弱して死んでしまう酵母も出てくる。


酵母があまりに衰弱・死滅してから醪を搾ると

アミノ酸度が酸度を大幅に上回るほど上昇して

味の多い虚弱な酒質に陥ったりもする。


また酵母がまだ元気に湧いているような状況下で

はやく搾りすぎたりすると

ボーメが高く(日本酒度がマイナス)

重く甘ったるい酒質に

そしてたんぱく質が十分に分解されないが故の

味の多い虚弱な酒質になったりもする。


このように酵母に精一杯のところまで働いてもらい

衰弱・死滅する手前の

酒質が一番良くなる時、

そのポイント・タイミングを見計らって醪を搾った純米酒・・・

これを「完全発酵の純米酒」と呼ぶ。


健全な酵母を育てる環境をつくりあげる技術と勘

完全発酵したタイミングを見極め搾るその技術と勘

これが杜氏の杜氏たる所以なのだ。


こうして醸された完全発酵の純米酒は

搾りたては結構渋い酒質になるが

時を経て熟成することにより

米の旨味がどんどん開いていくことになるし

燗につけてもツーンとくるアルコール臭はなく

すべらかに呑めるのだ。


これが本物の純米酒というものなのだ。


発酵途中の醪(もろみ)に

醸造用アルコールや調味液(糖類・酸味料)を添加されて

酵母の働きを強制的に止められ

搾られた清酒は

やはり健全なお酒とは言えないと思う。

このような清酒は弱く

なかなか熟成には耐えられない。


みなさん

日本酒を呑むなら

ぜひ完全発酵した純米酒を呑んでください。

その違いは歴然ですヨ!


このような純米酒のより専門的な知識を学びたいなら・・・

これ!!


「いざ、純米酒」  上原 浩 先生





これが私の教科書です。



当店のホームページにも蘊蓄を載せてますョ。
    ↓
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