唐茄子はカボチャ

映画と音楽と・・・

アクト オブ キリング

2014年05月10日 | 好きな映画・良かった映画
胸くそが悪くなる・・・一言でいうと、そんな映画でした。
虐殺の手口を正当化どころか、楽しんで自慢げに再現している前半はまさにそれでした。

そして、後半になるにつれ、そこには変化が起こります。人間らしさが垣間見えてきます。そんな殺人者に情が移る自分に抵抗感を感じで、気持ち悪くなりました。

そして、もしかしたら、自分も殺されることにおびえて命乞いをする側にも、それを嘲笑いながら拷問を与え、女性を犯し、平気で人を殺す側にもなりうるのではと、その境界線の危うさを感じました。

自分の親を殺された人が、批判ではない、あくまで情報提供といいながら、自分の親が殺された体験を笑って機嫌を取りながらその虐殺者に話すシーンも怖かった。そのことでもしかしたら同じ目にあってしまうかもしれない恐怖は本当はあったのだろうと思います。だから批判じゃないと何度も念を押していたわけだし。そして拷問を受け殺される演技のシーンがもう演技じゃなくなっていて・・・この辺からこの映画の流れが変わった気がしました。

最初に殺人を誇らしげに再現して見せた場所で最後に戻りますが、その時に見せた嘔吐につられて自分も吐き気をもよおしてしまいました。物語とは別に、そのおえっ!っていう音が胸のところに変な振動をぶつけてくるみたいな…口で息をすると、同じようにおえっ!てなりそうで・・・。映画が終わって外に出てからもその気持ち悪さがずっと残りました。
書いてて今もなんかこみ上げてきそうです。

吐き気を催す映画は初めてでした。

そういえば、4~5回ほど大笑いしてた若者がいました。華僑の彼女の父親を殺したときの冗談話や、滝の前で死者の格好をした男にメダルをかけられ殺してくれてありがとうといわせるところや、あの女装のシーン、あと1回ぐらいあった気がするけど・・・
映画の見方は人それぞれだし、確かにそういう冗談めいたところや滑稽なシーンではあったにしても、笑える心境にはなれなかったので、その感覚に戸惑いました。
もしかして、インドネシアの人が見てるのかなと思ってしまいました。
観終わった後に後ろを振り変えると、日本人でした。友達に楽しそうにメダルのことを話してるのが印象的でした。

なんでメダルかは、映画を見てのお楽しみ・・・楽しくないか…

何にしても、今の世界の現実を見せつけられた映画でした。


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