武士道残酷物語 [DVD]東映ビデオこのアイテムの詳細を見る |
10年、いや、下手をすると、20年ぐらい前から、気になっていた映画でした。
確かに残酷ですね。
主君のためには自らの命をささげる。これは当たり前のことですが、それだけにとどまらず、理不尽な命令にも無条件で従わなければいけないわけです。
そこに何の疑問を持ってはいけない。
娘を政治の道具に使われて、奥さんまで夜伽を命じられて、それでも、君主に仕えることに疑問を持ってはいけないのです。そのあとも不幸は続きます。
武家社会のお上のひどさもありますが、家臣のお上に対する依存がそこにあるような気がしました。それが象徴的だったのがお殿様が死んだらみんなあとを追うように切腹して果てる。そのことに何の疑問もなくそうしてしまう悲しさを感じました。
これで、武家社会の中の物語としてだけ描いている作品であれば、ただ、「あの時代はひどかったね」で終わってしまうわけですが、この映画の面白いところは、太平洋戦争、現代(もちろん当時の)をだして、昔の話ではなく、その封建的な思想の残りかすに支配されていること、大きな社会の仕組みの中で、いつの間にか精神までも支配される姿を描いているところです。
特攻のお兄さんは、何の疑問もなく、特攻で死にます。
そして、現代では、会社の中で、会社の都合で自分の人生が狂わされます。そこで精神的に支配されていたことに気づくわけですね。先祖のようにはなるまいと思っていたのに、いつのまにか同じことを繰り返している自分に驚愕するのです。
最後に自殺未遂した彼女と会社の意向、思惑に反して結婚を決意するわけですが、それがこの映画の救いです。
支配するものからの精神の開放を目指すというか、真の自立のための決意でもあると思います。
上下関係だけの話ではありません。女性がその時代にどのような立場にあったのかもわかります。それが、現代にもそれが残っていることを考えなければいけませんね。
あと、役者さんの演技力がすごいです。
自殺した奥さんのかごから落ちるところなんか、何の躊躇もなく頭からいってますもんね。
出てくる女性の美しさ。岸田今日子さんの色っぽい演技、三田佳子さんの初々しい感じもよかったです。
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