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神国日本のトンデモ決戦生活―広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか/早川 タダノリ

2010年09月27日 | 
神国日本のトンデモ決戦生活―広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか
早川 タダノリ
合同出版

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この前読んだ山中さんの本は、詳細な資料をつかって、少年Hの間違いを正しつつ、銃後生活の事実を説明していました。内容的にはすごいことが書いてあるのはわかるのですが、内容が濃すぎて、かなり専門的でなかなか資料を読みとおすことがつらい本でした。

そこれ比べるのも何なんですが、この本は、当時の雑誌やポスターなんかを見せながら、2ページで一つのテーマが終わるようになっているので、とても読みやすい。ブログ的とでも言いますか。
しかも、この本の著者は、1974年生まれと、まだ若い人なんですね。戦後生まれの若い感覚で、戦時中のめちゃくちゃな雑誌の記事を笑い飛ばし批判する。当時の総理や閣僚の「神の国」「産む機械」発言など、今の政治家の後を絶たない暴言の数々と重ね合わせて、その思想の根拠が何となく見えてくるようにもなっているのもなかなかに面白いと思いました。

当時の雑誌記事から見えてくるのは、本当にすごいんです。
女性は本当に神国日本の兵隊をつくりだすための「産む機械」であったこと、軍事力で海外に乗り出していった行為が、自由のためとか、解放のためとか、他国の経済封鎖とか、そんなところにあるんじゃなくて、世界を大東亜共栄圏、八紘一宇、神の国、神の世界の建設にあったこと、神というのはもちろん、現人神=天皇のことですが、それは、他国との対等の立場からの進出ではなく、明らかに、日本は神の国だから偉い。それを程度の低いほかの人種にもたたきこんで、世界を天皇のもとに置くことがいいことなんだという、本当にありがた迷惑なところから出発していることがよくわかります。

あの戦争を侵略戦争だったと思っている人はぜひ、その確信を深めるために読んでほしいし、反対に、そう思っていない人にも、この雑誌に書かれているものを見て、判断してほしいと思いました。そんなに、当時の日本が偉い国だったのか、考えてほしいです。

そうそう、北朝鮮のことをみんな馬鹿にするけれど、これを読んだら馬鹿にできないと思います。北朝鮮のさらに上を行く馬鹿な国家があったことがわかるでしょう。北朝鮮のが、戦争しないだけましです。



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