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唐茄子はカボチャ

映画と音楽と・・・

男はつらいよ 望郷篇

2010年03月09日 | 男はつらいよ・山田洋次
男はつらいよ 望郷篇

松竹

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1970年 第5作

なんか最初のころの作品って完全撃破の話が多いんですね。

地道に汗水たらして働こうとする寅さん。失恋とともに地道な生活も捨ててしまいました。でも、それはふられたからだけではないのでしょう。
さくらさんに「地道に働こうとしたけどダメだった。おれ、バカだからな」って言っている寅さんが悲しい。でも同時に、それを「うん、うん」といってきいてくれるさくらさんが良いです。
寅さんにきついことも言うさくらさんですが、お兄さんがとことん落ち込んでいるときには、何も言わずにただきいてくれるさくらさんの存在は大きいです。

その、「うん」という返事がちゃんとはっきりと声になっていてそれがなんか心に響きます。

2008/1/10

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久々の寅さんです。
身につまされるはなしです。
一度いろいろ書いたのが消えてなくなりました。
また今度・・・

2008-08-03

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長山藍子さんと井川久志さんは、テレビドラマの男はつらいよでさくらと博をやっています。そんな関係を知ると、このお話で2人を出したということに意味を感じます。

それにしても、勘違いするようなこと言いやがってって感じですよね。だれだって、勘違いしますよ。
ちゃんと事情を話して、そのうえで、ずっと家にいてくれっていうのなら話はわかるけど、あれじゃあね。
きたないよ!節子さん!

ほんと、とんだ3枚目ですよ。

でも、この話し好きです。

包丁一本~さらしにま~い~て~♪と、寅さんが歌ってるところが好きです。

あの家では、寅さんは周りに好かれて、明るく楽しくまじめに暮らしているのに・・・
所帯を持って、豆腐屋で地道に暮らすこともまじめに考えていたんだろうに・・・・
なんで、その程度の幸せを寅さんはつかむことができないんでしょうか。
寅さんのせいなんでしょうか・・・・
なんか、悲しいですよね。

さくらと最後のお別れのシーンがとても好きです。
さらに、そのあと、いつもの寅さんの「拝啓・・・」という手紙のナレーションが流れながら、江戸川の土手でさくらが後ろ向きでにたたずんで足を前後に揺らすところから、寅さんの後姿に移るシーンは涙もんです。

空がきれい。
機関車がすごい。
花火を結構映していますが、さくらの住んでるアパートの階段のところに、花火大会のポスターが貼ってありましたね。

寅さんの仕事をみんなで考えるシーンも面白い。
仕事を断った人たちが言い訳に来るところは、寝床をイメージしたのかもしれませんね。
寅さんが、タコ社長の工場に行くときのおばちゃんとおいちゃんとのやり取りも面白いですね。



第40作 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日

2010年03月07日 | 男はつらいよ・山田洋次
第40作 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日 HDリマスター版 [DVD]

松竹

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映画雑誌に井上ひさしさんと誰だかの対談がのっていて、その時のテーマがこのサラダ記念日だったんで、観たくなって観ました。

こんかい、あれ?と思ったのは、オープニングとエンディングのところです。
いつもなら、寅さんが柴又に帰るところがオープニングになりますが、今回は、とらや・・・でなくて、くるまやには戻らずに、いきなり旅先でのお祭りのシーンです。ちょっと哀愁を漂わせています。

小諸なる古城のほとり 雲白く遊子哀しむ

ここにつなげるために、たぶん、くるまやに行かなかったんでしょうね。くるまやに行ったら、遊子哀しむ・・・という雰囲気は無くなっちゃいますもんね。

そういう意味では、マクラの夢落ちもなかったですね。寅からさくらへのメッセージから入ってます。

寅さんの旅の哀愁をずっと漂わせておいて、遊子哀しむにぴったり当てはまるようにしたんじゃないでしょうか。

でも、今回、遊子の哀しさを一番感じさせたのは、最後のゆきちゃんへの寅さんのセリフですね。好きな女性が悲しんだり苦しんだりしているときに、寅さんはそばにいても何もしてあげられない。筋道立てて一緒に生きる道を模索するようなことはできない・・・それが、遊子寅さんの一番の哀しみですね。

結局、寅さんは、自分で身を引くしか、彼女の道の手伝いをしてあげることしかできないんだから。

くるまやの人にしてみれば、ああ・・・またふられたか…で終わってしまうわけだけれども、寅さんの哀しみは深いですね。

たぶん、彼女の悩みとか、悲しみをきちんと受け止めてあげれば、それこそ、うまくいったかもしれないのだけれど…寅さんは、自分のいい加減さとか、ダメなところも骨身にしみてわかっているから、相手に正面から向かってこられると、逃げるんですね。その人を幸せにできないことを自分が一番知っているから。

遊子の悲しさは、旅をすることしかできない男の悲しさですね。

寅さんが去った後の三田佳子さんも良かったです。あの受話器を置いたあとのちょっと怒った表情。しかも、無言なところがいい。あれがまた深みを出してくれました。

そう。無言で表現するという点では、おばあちゃんのお葬式の時にみんなと離れて座っている寅さんがいいですね。このころになると、寅さんは、お葬式を仕切ろうとかいう気力もないのかもしれませんが…
あそこの集団とチョコっと離れているところにいるそのポジションに哀愁があります。
長針短針のところも、別れ際に握られた手の間食を感じながら、その場から立ち去れない感じがすごく絵になってます。後ろ向きの寅さんの気持ちがすごく切ないですね。
同時に電車の中にいた先生の心も切なかったのかもしれないですけど。

あと、さりげないセリフもいいですね。
霊安室(?)での先生とのすれ違いざまの「遅くなって申し訳ありませんでした」とか言うところのセリフがすっとしみてくる感じがしました。おばあちゃんに「間に合わなくてごめん」というんじゃなくて、先生に言ったところがなんかいいですよね。
あのシーンでは、おばあちゃんに対してはセリフはいらないですもんね。観てる方も寅さんの気持ちは知っているから。

そういった、さりげないところで人の心の揺れみたいなものを表現できるってすごいですね。

下手な映画だったら、おばあちゃん間に合わなくてごめん!とかさけんじゃいそうだし・・・

寅さんて、大人な映画ですね。

・・でも、わかりやすいところがまたいいです。
わかりやすいのは、みんながそれぞれ、似たようなことを体験しているからなのかもしれませんが、そういう、そうだよなあ…という感覚を自然にしみ込ませてくれる寅さんの映画は本当にすごいと思います。

あ・・・終わりのところを言ってなかったですね。
寅さんはふられてとらやから旅に出るのがだいたい普通のパターンなんだけど、そこも、とらやから引き離しているところが意外でした。やっぱり、そこはとことん、旅先の寅さんの哀しみというテーマがあったからかもしれません。
なんて言っておいて、ああでもしないと、話がまとまらないからというだけかもしれませんが…

「・・・ですね」って多くないですか?

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愛ひとつ受けとめかねて帰る道
長針短針重なる時刻

先生のちょっとした告白みたいなものを受け止められずに電車が来たとごまかしてしまった寅さん。
別れ際の握手の手の感触の余韻を感じながら寅さんは先生を思うのでありました。

そこでこの歌が字幕で出てきます。

ああ・・・寅さんは好きなのに受け止められないというそこの心のところがこの歌にうまくはまっています。

まあ、これぐらい、愛を受け止められなかったほうも気にしてくれればいいのだろうけど…まあ・・・ね、そういうことばっかりじゃないし・・・ね。

でも、今の自分には、じんとくるシーンでしたね。

そして、おばあちゃんが死んだと気の再開のシーンでも、泣いてしまった先生に、寅さんが優しく「疲れてるんだからお休み」と声をかけて、その優しさに、彼女の心もほろっとなって、つい、寅さんに体をゆだねてしまうのだけれど・・・

寅さんは知ってるんですね。彼女にとって、本当に必要なのは、そんな安易なただの止まり木みたいな優しさじゃないって。
彼女の悩みをきちんと受け止めて、彼女の生きる道を一緒に考えてあげられるようなそんな人が彼女にふさわしいと。思ってしまうんですね。

寅さんは先生のことが好きだけど、好きだからこそ自ら身を引いてしまったのです。

今回の寅さんは、最後までカッコ良かったです。

2009-02-15

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第40作

先生はとらさんに安らぎを求めていましたが・・・
寅さんは、先生には、悩んだり落ち込んだ時に筋道立てて一緒に考えてくれる人こそふさわしいと身を引きます。
先生の甘えたい・・・支えてほしい想いに、こたえられない寅さんは、その場の情に流されることなく、彼女の先々の幸せを考えて身を引いたのでした。 

満男の何で学ぶのか?の問いに、学がないと、人生の選択が迫られた時にさいころの目をふるとか気分で選ぶしかない。学ぶことによって、筋道立てて選択できる・・・みたいな・・かなり違いますけど、そんなことを言ってました。
寅さんは、大事な時には、筋道立てて考えなくても感覚で本質をついてる気がします。いくら頭がよくて筋道を考えても、本質がずれていてはどうにもなりません。
何で学ぶのか、とても寅さんらしい言葉だと思いました。

2008-02-05

男はつらいよ 花も嵐も寅次郎

2010年02月14日 | 男はつらいよ・山田洋次
男はつらいよ 花も嵐も寅次郎

松竹

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1982年 30作

田中裕子さんがきれいでかわいくて、たまらないです。寅さんが駅に迎えに行ったときのあの喜びよう。そして寅さんの腕にぎゅっとしがみついて・・あんなことされたらたまらんでしょうなあ・・・

あんな女の子には幸せになってほしいと思うのもわかります。でも、彼女が幸せになるってことは、自分の手を離れることなんですね。寅さんはつらいところです。

最後の電話でのやり取りも泣けます。「何で黙っていっちゃったの?いっぱい話したいことあったのに・・・」こんなこといわれたら、もう、どうにかなっちゃうよ。しかも最後の別れ方がちょっと気まずい別れ方だっただけにいっそうきますね。

寅さんに悩みを打ち明けるシーンの「好きだから悩んでるのよ。わかってよ」といって涙をつっと流すところがまた良いです。「寅さんにしかられた」といったときの表情もたまらんです。

寅さんがあまりはちゃめちゃなことをしないので安心してみることができました。寅さんもすこしずつ年を取っているのでしょう。

「おれから恋をとったら造糞器だよ」ってのは面白かったです。

また記事が消えてしまった・・・まったく・・・

沢田さんと寅さんのやり取りを楽しそうに見ているさくらさんが良いです。

最後の「二枚目はいいなあ・・・少し妬けるぜ・・・」みたいなセリフも「少し泣けるぜ」

殿山さんがお坊さん役で出てましたね。

2008-02-01

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「花もー嵐もー」と歌う寅さんの歌詞がそのまま題名になっていました。(いまさら気づいたのか?)
寅さんは「ああ、三郎青年の運命やいかに」みたいに最初は二枚目だけど融通が利かない三郎青年の恋の行方をちょっと引いたところから面白そうに見ています。三郎青年よりも自分のほうを蛍子さんは好いてくれているという、「勘違い」からなのですが、やっぱり蛍子さんは最初の段階から、三郎青年の「付き合ってください」といういきなりの告白の意味がひっかかって、気になっていたのですね。
2枚目だからあんなことを平気で言えるのかもという疑いもあったと思います。あの寅さんと2人での飲み屋のシーンは表向きの言葉の中に見え隠れする本当の気持ちがでていました。それを寅さんは三郎青年はふられたと思い込んだわけですが・・・

寅さんのいいところは、そのあとに自分のことはおいといて、三郎青年と蛍子さんをくっつけようと奮闘するところなんですけど・・・さくらさんはそんなおにいちゃんをみて、人のことより自分のことを心配してほしいわけですけど・・・

2人の仲がうまくいったときに、寅さんは、自分が用無しだったことに気づいちゃったのですね。2人は2人で勝手にうまくやっていく。自分は確かにみんなに好かれるけれども、人生を左右するような重要な位置には結局入り込めない存在でした。

寅さんはみんなを引っ掻き回すようなイメージがあるけれど(とらやの騒動のせい?)、じつは、自分の人生を引っ掻き回されてしまっているような気がしました。まあ、性格のせいもあるけれど、本気でがんばっているのに報われなくて、周りの笑いものになってしまうわけです。一回ぐらいうまくいってもいいのに、うまくいきそうなときも自分で壊してしまう。

一番融通の利かないのは結局寅さんですね。

最後に螢子さんとの電話のシーンはまた泣いちゃいました。螢子さんが寅さんをすごく頼っていたことがわかるシーンでもあり、同時に寅さんなしでも生きていくんだなあ・・・と思っわされちゃうところでもあります。

駅に迎えに行くシーンは名シーンだなあ・・・

2008-08-23

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いつもの失恋しちゃう寅さんとはちょっと違います。失恋だったのかな・・・
まあ、いつもの、自分中心に思い込んでいて、一方的な思い込みを打ち砕かれるのとか、逆に相手が寅さんを思いはじめて、逃げていっちゃうようなやつとは違って、2人をくっつける役割を果たします。

あれだけ蛍子さんに甘えられたら、男だったらいい気持にならないわけがありません。
三郎青年よりおれのが良いんだってよ!と、うかれちゃうのもわかります。ああいう状況であれば、みんな心で思うことです。寅さんの場合、それが顔や行動に出ちゃうというだけですもんね。

でも、今回は、それだけなんです。

ふられて落ち込んだ三郎青年を見て、ほっとけなくなって、自分をえさに蛍子さんを呼び出して、見事三郎青年とくっつけるわけです。

仮に、そのまま寅さんを蛍子さんが好きになっちゃったとしたら、寅さんは黙って出て行くんでしょうね。

今回も、ここしかないタイミングで去ります。寅さんの去り際はいつも見事です。2枚目でかっこつけです。

そのかっこよさは、たぶん、男の美学、寅さんの美学があるんでしょうね。シリーズのどこかで、ちらさんが、かっこつけずに、自分の好きという気持ちでかっこ悪くても相手にぶつかれば、何回かは結ばれていたでしょう。でも、たぶん、長く続かないのかもしれませんが・・・
それがわかっているからこそ、寅さんは逃げるように旅立ってしまうんですね。

今回も、最後の電話のシーンが泣けます。
どうして黙って行っちゃったの?と蛍子さんに愛情たっぷりに責められたら、もう、たまりませんなあ…あれは田中裕子さんならではですね。

恐ろしく甘え上手ですね。男はみんな落ちますね。


おとうと

2010年02月13日 | 男はつらいよ・山田洋次
とても心にずしんとくる映画でした。
見終わった後、映画館から出るときに、言葉を出すことができない状態・・・たぶんみんなそうだったと思います。みんな終始無言で長いエスカレーターを降りていました。

人が死ぬというだけで、悲しい話にもって行くことはできるんだろうけど、そういった死んで悲しい・・という感情もありつつ、それだけでない、深いところで考えてしまう…感じてしまう、重い映画だと思います。

正直最初はひいてみてました。

まず、鶴瓶さん演ずる弟のめちゃくちゃさ。寅さんみたいに笑いだけでは収まらないようなどうしようもなさ…あんな人間いたら、正直迷惑だし、疎まれて当然だと、思いました。

そして、娘役の蒼井優さんが、はまってこないんです。山田洋次の映画は、つくりあげられた自然体という印象があるんですけど、なんか、それがしっくりこないんですよね。もっと、ふにゃふにゃな感じというか、つくらない自然体が彼女の魅力だと勝手に思ってますが、それがどうも、言わされてる感じに思っちゃって…

吉永小百合さんも、無理して関西弁みたいな言いまわししなくてもいいんじゃないかな?と思ったりして…そこまで考えちゃうのは、やっぱり、集中してなくて、ひいてみてたからなんだろうけど・・・

ホスピスの自然さが何となく宗教チックに感じてしまったところもあって、不自然に思えたり、鶴瓶さんが出る前の結婚式のシーンもなんか違う感じがして。

加瀬亮さんの好青年も、山田洋次的好青年って感じがしちゃって、なんとなく違和感が…山田洋次さんの感じている青年像と、ずれがあるのかもしれません。

そんな、違和感の流れの中で、たんたんと、話が進んでいきます。前半だけみたら、終わったかな?とも思いました。寅さんの映像とかも、正直そこまで縛られなくても…・と思ってしまったし…

山田洋次さんの作品で、こんなに否定的に書いたのは初めてだと思いますが…

さて、それで、後半に入ると、なんか、ずっと涙を流していました。大泣しちゃったというんじゃなくて、涙がすこしずつ、とめどなく流れるというか…あまり感情の起伏もなく、自分の頭の中で何が涙を誘ったのかがよくわからないんですけど…なぜか気がつくと涙って感じで…

きっかけは、お姉さんが、弟を追い出したあと、弟の行方がわからなくなり、警察から連絡が来て、お姉さんが大阪まで会いに行こうとする時の娘とのやり取りのところ。新幹線に場面がうつりながら、小春の名前を付けてもらったときのエピソードが語られるわけですけど、あのときの、旦那の話。他の姉妹に踏みつけられて、ずっと褒められないで生きてきたんじゃないかなあ…だから、娘の名前を付けてもらって、ちょっとぐらいへんな名前でも、思いっきり感謝しようと思っていた・・・とかいうセリフのところがズシッと突き刺さったわけです。

そこで、今までのシーンで、おとうとさんに向けてた嫌悪の気持を自分自身も、見透かされた感じがして…まあ、あんな行動されたら当たり前ですが…要は、人の社会の歯車に会わない人間は、みんな邪魔もので、足蹴にしていいのか、考えてしまったわけです。わけへだてなく、みんなを愛せよと言われているんじゃないけれど、自分が今までの生活の中でつくりあげてきたある種の基準というか、常識とか、その場での人のあるべき姿とか、はっきりしないあいまいなもので、みんな人を区別して来てしまったんじゃないかと・・・それは批判というか、ただそうだったんじゃないかと…そうなったときに、そのはじかれた方はどのような思いをして、生きていかなくちゃいかないのかと考えたときに、お姉さんと同じように(かわからないけど)、負い目を感じてしまったんです。

そこから弟さんが死ぬまでの話も、別に劇的なことがあるわけじゃないし、木の聴いたセリフがアクセントになるわけでもないし…と言いながら、重要なせりふはけっこうあるんですが、ここで涙を流してもらいます的なはっきり視聴者の心を代弁しちゃうようなせりふはあえて消してしまったみたいで・・・。そんなたんたんとした市へ向かい流れにの中で、少しだけ最後まで涙が流れていたわけですが…

セリフを言わさないことで、みている側にわからせるテクニックはすごいです。
たとえば、その小春の名前でおじさんを傷つけて死ぬ前に、会いに行かなきゃと、娘を車で走らせ、会いに来させるわけですけど、普通だったら、「あんなこと言ってごめんなさい」なんて言うのが普通の劇ですが、そこをそういうセリフを出さないところに、美しさを感じました。言葉で説明するまでもなく、あれが彼女の引っかかりだとみんなわかってるわけですからね。

危篤だと知らされる電話のシーンも、母親の方に娘がさりげなく手をのせますが、あんなところも美しい映像です。

一緒に行った友達が言ってたんですけど、弟に通天閣を見てみろと言われて窓の方を向くお姉さんのシーンがあるんですけど、そこで通天閣のピントがぼけてたそうです。
そういえば、あの時のお姉さんの窓の方を向く目線の重たい感じがしてましたが、そうだったんですね。そんなの見るような状態じゃないわけで、目線はそこへ向けても、とても、通天閣を見るような気持じゃなかったんでしょうね。それがあのシーンになったんじゃないかと。

薬局の前の坂もいい味出してました。山田さんはああいった小さな駅の傾斜がきつい場所が好きなのかもしれませんね。
あの坂を使っていろんな表現してて、その坂のシーンも面白いです。

そういういろんなことも感じられて、最終的に、いい映画でした。

男はつらいよ 葛飾立志篇

2010年02月09日 | 男はつらいよ・山田洋次
男はつらいよ 葛飾立志篇

松竹

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1975年 第16作

んーたまらないです。
教授のふられ方が…ん・・・きついですねえ…
かえってつらい思いをさせて・・・すまなかったね・・・
というセリフがなんか泣かせます。
あんな手紙書かなきゃよかった…いや、それでは、私の気持ちがうんぬんかんぬん…
つらいところですね。
良くわかります。
ふられて後悔しつつも、自分の気持ちを伝えたという一歩前に踏み出した自分に対して、好きっとした部分もあるでしょうし…

でも、この教授もある意味うらやましいのは、旅に出るか・・・で、ふらっと出て行っちゃえる…冬休みだったからかもしれないけれど…そんな逃げ場があるのはうらやましいなあ・・・・ふられて、そのまま一緒に顔を突き合わす…そりゃ地獄ですぜだんな・・・

でも、結局、帰ったら、彼女と会わなければいけないけれどね。仕事場が同じなら、そこから逃げることはできないからね。
ふられて、それで、2人の関係は終わりなの化というと、そうじゃないですもんね。
そこからが始まりかもしれないのに…
結局2人とも、ふられべたなのかもね。人のこと言えないが…

この先どうなるのでしょうか・・・というか、どうなったのでしょうか・・・・

マクラの夢のシーンは、今回はっと思ったんですねど、寅さんの頭の中の理想の寅さん像なのかなって…
妹やみんなが帰りを待っていてくれる。そこに、さっそうと現れる・・・そして、旅立つ時もかっこよく、みんなに惜しまれながら・・・余韻に浸りながら…
そういう2枚目の理想の姿がああやって夢に出てくるんだろうな・・・

そして、また3枚目をやっちゃった…と、逃げるように出て行く寅さん。
でもこっちの寅さん…心に傷を負いながら、旅に出る寅さんの方が、やっぱり好きなんだよなあ…
そっちの方がかっこいいんですよね。

もうこんな気持ち耐えられない!と思うようなことを何度も何度も繰り返しているのに、それでも、恋をしてしまう寅さんが、やっぱり好きなんですよね。

桜田淳子さんのシーンがとても印象に残ります。
見ず知らずの自分を一生懸命励まそうとするとらやの人たち。それもかっこよくないんだけど、そこが人のきれいなところなんでしょうね。
人のために、役に立ちたい。その人の喜ぶ顔が見たい。その手助けをしたい。その気持ちが、とてもうれしいですよね。

淳子さんのお母さんのことを寅さんが家族に話すシーン…普通だったら、回想シーンとなるところを、寅さんの語りだけで、済ませてしまいます。
ここが寅さんシリーズのすごいところで、落語的なんですよね。

言葉だけでみる側に情景を浮かばせて、お雪さんのことも、想像させてしまうわけです。その辺が渥美さんの演技のすごいところだし、それを映像で見せてしまうっていう作り手のすごさもあります。

何気ないセリフがぽっと入ったり、何気ないしぐさとか動きで、次につなげたり・・・そのつながるときも、自然につなげるところがすごい。寅さんがその語りを終わった後に、ちゃぶ台の方に歩いてくるんだけど、その時のさくらの表情と目線がとてもさりげなくて素晴らしいんです。こういう、仕掛けられた自然さがとても、気持ちがいい。いやらしさもないんですよね。
自然にしようとするばっかりに、わけわかんなくなっちゃうのとか、独りよがりになっちゃうのとか、あるけれど、やっぱり、自然な演技とか、自然な撮影というのは、よほど計算されていないとだめなんだろうなと。その計算がないと、計算以上のことができないというか…なんだかわからないですかね?まあ、今日はこの辺でお開きということで…

学問の話も良かったですね。
お雪さんが学問があれば、だまされずに済んだと言っていたこと、それで、最後に、先生の結婚話を聞いても何がなんだかさっぱり分からなくて、学問がなくて悔しいと言った寅さん。学問は己を知ることなんて、理屈で言う見んじゃなくて、感覚で、学問の必要性を感じているところが、泣けちゃいます。

野球しているときに、今年は家にいようかな…というシーンもいいです。寅さんは、やっぱり人並みに幸せがほしいんですよね。腰を落ち着けて好きな人と暮らしたいという…それだけが望みなのに・・・それができないんですよね。周りがそれをバカにするけれど、それって、本当に残酷なことで、なに様なんだよ!と思いつつ…

人を好きになったり、好きな人にふられて、苦しい時って、人間の感情としては、一番その人が美しい時というか、輝いているときなんだろうけど、そんな状態を何度も繰り返すことができる寅さんは、ある意味うらやましい気もしたりして…

でも、そんな寅さんも、ひとりの時にふと思うんでしょうね。落ち着ける家があることの素晴らしさ。家族がそろって家にいることの素晴らしさ。
だから、寅さんはついつい家に帰ってきてしまうんですね。

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寅さんは今回はふられたというのではないけれど・・・結局ふられたのかなあ・・・

寅さんは、もし、プロポーズの話がなかったら、どうしたのでしょうか・・・
れい子さんがとらやにいる間はずっと、今までのように楽しくやっていくのだろうけど、寅さん自身もそれ以上深いところまでいこうと思ってないのかもしれません。深く行く自信が無いか、深く行くのが怖いのか・・・

寅さんが自分にとって「愛」とは何かをいうところがあります。

あーいい女だなあ・・・と思う、
その次には、話をしたいなーっと思う、
ね?その次には、もうちょっと長くそばにいたいなーっと思う、
そのうちこう・・・なんか気分がやわらかーくなってさ、
あーもう、この人を幸せにしたいなーっと思う、
もう、この人のためだったら命をかけてもいい。もう死んじゃってもいい!そう思う。
それが愛ってもんじゃないかい?

ということなんですけど、名台詞です。

寅さんはこのスタンスでいる限り、結局だれともくっつかない気がしますね。
寅さんの愛は、相手に求めるものが無いんだと思います。
話をしたい。幸せにしたい。この人のためだったら死ねる。・・・それを聞けば聞くほど、その愛している対象に近づけなくなるような気がしちゃいます。

彼女にとって、自分(寅さん)がいること自体が幸せだとは絶対考えないだろうからね。遠くから、やさしく見守る感じというのかな・・・ただ、その女の人が幸せそうに笑っているだけで、それだけで寅さんは幸せになれるのです。自分に愛情を注がれることが愛を感じるときではないのです。

寅さんは、本当にその女の人のためなら死ねると思います。ハブにかまれてじゃなくて、女のために死ぬのが寅さんです。でも、寅さんのために女の人が傷ついたり、苦労したり、人生を左右されたり、ということはすごく嫌うのではないでしょうか。好きな女の人を守ってあげたいという思いが、時たま過保護になってしまうときがありますが、それが寅さんなのです。

本当に気持ちがやわらかくなって・・・まなざしが優しくなる・・・自分もそうなりますが、やっぱりそれだけでは自分はダメで、相手の女の人に愛情を注いでほしくなるわけです。寅さんはそれは求めないのです。一方通行なんです。

ふられるというより、はなからくっつこうなんて思ってないんじゃないのかな・・・今のこの生ぬるいやわらかい気分でいることが寅さんは好きなんでしょう。一緒になるということは、それだけではすまないことでもあります。

礼子さんがプロポーズをされたことを寅さんに告白したあとに寅さんが、何を言ってるのか解らなくてこたえてあげられなかった・・・って泣くんですよね。ふられたことがショックなんじゃないんです。好きな彼女が悩んでいてあがいているのをどうしようも出来なかった自分の非力さをくやしがって泣くんです。笑っていない彼女を見るのがつらかった・・・それをどうしようも出来ない・・・そのとき、寅さんは、彼女にとって、自分の存在は必要ないものだと・・・勝手に思い込んじゃうんでしょうね。

2008-11-19

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寅さんが礼子さんからプロポーズされた相談を受けたときに、それを後押しするような行動をとるのかな?と思ったら、そのまま両方ふられちゃうなんて・・・

ただ、ゆっくり時間をかけて考えれば2人はうまくいくのではないでしょうかね。そこで結論を出さなくてもいいと思うのだが・・・そういう方向にもっていって行かないところがまたその人の相手に迷惑をかけたくないとか、自分の無様さから逃げ出したいとか、そういういろんな思いが・・・恋愛が苦手であれば余計そうです。真剣であればあるほど逃げたくなっちゃうのって・・・わかります。そういう人ばっかりじゃないだろうけどね。

(2008-01-04)

運が良けりゃ

2009年10月04日 | 男はつらいよ・山田洋次
運が良けりゃ [DVD]

松竹ホームビデオ

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落語の世界から飛び出してきたような長屋の人たちが、いろんな騒動を起こします。でも、ただのドタバタ劇ではなく、ちょっとほろっとさせられちゃったり…

不思議ですね。金を全然持ってないように見える長屋の連中が元気いっぱい生きているっているのは。まあ、映画だからだけど・・

若旦那が良かったです。長屋の連中と生活の基盤が違う人が、何の抵抗もなく一緒に溶け込んでいるのがなんかいいですね。

ハナ肇も今まではえらそうなイメージがあってあまり好きな人ではありませでしたが、ちょっと印象が違いました。
最後は何となくかっこよく見えるから不思議です。

家族

2009年09月08日 | 男はつらいよ・山田洋次
家族

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時は万博でにぎわう1970年、長崎から開拓地の北海道へ行くまでの数日間を描いた物語
私が生まれた年でありますが・・・なんか、自分が子どもの頃を感じることができます。
母親の服装とか、子どもの帽子とか、レストランでの風景とか、弟の家とか、まるで自分のアルバムを見ているような・・・インディアンのまねとか、やりましたもんね。

経済の急成長の時代でもあり、電車の窓からの風景は、工場であったり、団地であったり、景色が急速に変わるさまを見せてくれます。その象徴が万博なのでしょうね

旅の途中で赤ちゃんを死なせてしまい、北海道に着いたら、おじいちゃんが亡くなってしまいます。マジかよと思うような悲惨さです。
北海道に移り住んだのは間違いだったのか、問いかけますが、最後に夏が来て、新たな生活の中で生きる希望をみつけていきます。
実際に正しいかどうかなんてわかりませんし、誤りだったかもしれません。でも、それでも、生きていくことに喜びを見出している最後のシーンは、とてもすばらしいです。

子役がすばらしい。演じてない。そのままの子どもでした。子役と言っても、私より年上か?

2004/05/18

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久しぶりに見ましたが、やっぱりいい映画ですね。
赤ちゃんが死んだあと、連絡船の中で赤ちゃんの泣き声を聞いてぱっと民子が起きるところがとても悲しいですね。
あと、今回良かったのが、おじいちゃんが駅で見送る息子(弟)に最後の別れを言うシーンが良かったです。
北海道についてから、洋服を民子に渡すシーンも良かったし・・・
いいシーンがいっぱいあります。

何でいいシーンかというと、やっぱり、1970年という時代の大きな流れの中で、1つの家族の人生の一部分をリアルに映し出しているので、あの家族とすれ違ってるかもしれない・・・あの時代にちょうどいたんだよなあ・・・と思わせてくれる、映像の中に自分がいるような、そんな気がしてしまうからだと思います。





第29作 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋

2009年07月24日 | 男はつらいよ・山田洋次
第29作 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋 HDリマスター版 [DVD]

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ついに寅さんのDVDを買ってしまいました。
やっぱりかがりさんが素晴らしくて・・

おれだったら、かがりさんのうちのご飯のときに眠いなんて言わないし、布団なのかだって、かがりさんが来たら起きて関係を深めたいし・・・あじさい寺だって、一人で行くし、そのまま帰らないし…でも、それじゃ映画にはならないよな。・・・というか、そもそもこういう展開にはならないか。

たとえば、車に荷物がいっぱいあって、好きな女の子が「荷物一人でおろすの大変だろうから車に一緒に乗ってくれる」と言ってきたと思いねえ…とりあえず、こっちは一緒にいたいから乗ってもらったと思いねえ…でも、荷物を下ろすなんて一人でできるし、そんなことでこっちまで来てもらうのは申し訳ないと思って、結局その子を家の近くでおろしたと思いねえ…あとで後悔するよね。その時は優しさだと思ったけど・・・一緒にいる時間が減ってしまったし、違う展開になったかもしれなかったのに・・・
もしかしたら、相手もそういう展開を望んでいたかも・・・なんて思ったら…しかし、それはこっちの願望であって、相手はそんなつもりでなかったら勝手に勘違いしてとんだ三枚目だなと…思うわけですね。

・・・何の話をしているのでしょうか。

自分の心の中には寅さんがいる。でも、寅さんのような潔さもなければ純粋な心もないけれど…

2009.1.8

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半年振りぐらいの「あじさい」です。
川崎の映画館でやってたときにいきたかったんですが、仕事でいけなくて・・・
女性の友だちにこれを貸したら、「寅さんをなんで好きになるのかわからない」と言ってました。
寅さんを・・・男はつらいよを愛するには、シリーズを見る積み重ねが大事なのかもしれません。
いきなり最初にこの作品を見てしまったというのも失敗かもしれません。
だって、寅さんはふられてばっかりいるから、たまにこういう展開になるとぐっと来るものがあると思うんだけど・・・いきなりこれじゃ、「寅さんを好きになるのがわからない」となってもおかしくないのかもしれません。

もう一つ貸したのもハイビスカスですから、寅さんがもてるやつしか、見てないですもんね。
入り方失敗したら、もう、寅さんとは縁がないかもしれませんなあ・・・
かわいそうに・・・

まあ、そんな人生もありでしょう。

私は、また寅さんを観続けますよ。
豆腐屋さんのやつをまた観たいなあ・・・

あ・・・あじさいの話です。
かがりさんの最後の手紙のところで涙が出ました。ちょっとだけだけど。
だって、かがりさんは、寅さんにすごく期待してあってみたものの、自分が思い描いていたようにはならなくて・・・それで勝手にがっかりして、逃げるように帰っていくわけです。
かがりさんは、寅さんに対してまっすぐぶつかっていく感じがしますが、同時に、焦りというか、形の上で、受け入れ手もらえないと、ちょっとすねるというか、冷たくあたるところがありますね。

寅さんに何度も期待したものの、そのたびに肩すかしをくってしまい、「寅さんのバカ・・」って感じになって、それでいてもたってもいられなくて逃げの行動をしてしまうような・・・そんな感じもします。

新幹線に走っていくかがりさんの表情の固さがすごく悲しいんですよね。

やっぱりこの作品は、寅さんのしゃべりのテンポとか、無理のなさとか、すべてがぴたっとはまった作品だと思います。いちばん好きですね。

第7作 男はつらいよ 奮闘篇

2009年04月13日 | 男はつらいよ・山田洋次
第7作 男はつらいよ 奮闘篇 HDリマスター版 [DVD]

松竹

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これも、知的障害がちょっと差別的に・・・というか、当時の認識の反映なんでしょうが・・・言葉をきいているとちょっとひいてしまいそう・・・

寅さんとの結婚がこれだけ否定的に言われたマドンナもいないのではないでしょうか。

寅さんが、「俺といるより、故郷に帰ったほうが幸せだというのかよ!」というのに対して、さくらが「その通りよ」とこたえるところが泣けますね。


第1作 男はつらいよ

2009年04月13日 | 男はつらいよ・山田洋次
第1作 男はつらいよ HDリマスター版 [DVD]

松竹

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第一作目ということもあり、見慣れた寅さんとは服装もちょっと違いますが・・・

博さんのお父さん役の志村喬さんがあれだけで感動させます。いやあ・・・すごい人だ。でも、それを受けた寅さんは、もうちょっと何かしてほしかったというか、感動することをしゃべってくれることを期待しちゃうところですが・・・

でも、そこで理屈を言わないのが寅さんですよね。

寅さんは理屈を口で言うんじゃなくて、行動で表す人ですから。

さくらさんがきれいです。眉毛もきりっとしてて・・・

博さんもかっこいいんですよね。

おいちゃんおばちゃん、たこ社長、御前様、源ちゃん、第一作目なのにずっとなじみの面々という感じで安心してみてられます。

第24作 男はつらいよ 寅次郎春の夢

2009年04月10日 | 男はつらいよ・山田洋次
第24作 男はつらいよ 寅次郎春の夢 HDリマスター版 [DVD]

松竹

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この作品は微妙なところもあって・・・
あんとなく、車家の中にいるまいこさんが少し違和感があるのです。
さくらを動揺させるんだったら、もっと色男にした方が・・・とか思いましたけど、色男にしなかったところが監督の狙いなのかもしれません。よくわかりませんが・・・・

寅さんの勢いを感じないんだよなあ・・・

寅さんの恋もあまり深くなっていかないし・・・
中途半端ですね。

第17作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

2009年03月26日 | 男はつらいよ・山田洋次
男はつらいよを映画館に見に行きました。
川崎の映画館で毎週作品を変えてやっているのですが、今回は夕焼けこやけということで、これだけは映画館で見てみてみたい作品の一つだったので、とても楽しみにしていました。

上の写真は、映画館に飾ってあった夕焼けこやけの時の写真です。渥美さんが私服でいて、頬を寄せている太地さんがきれいで・・・いい写真ですね。

ちょっと前にDVDで見たけれど、それでも、すごく楽しく見れました。

映画館の中はあまり人もいなくて、笑い声もあまり聞こえなかったけれど・・・・自分は結構笑ってました。みんなも笑ってたんじゃないかなあ・・・
人数がいっぱいだと、相乗効果でまた笑いも大きくなるんだろうけど…

満男の入学式の騒動で怒ってプイと飛び出した寅さん、とらやに電話すると、さくらが「反省してるから帰ってきて」と説得します。その後ろでおばちゃんが、「芋のにっころがしとがんもを作って待ってるから」と・・・そんな説得に「そうかあ?そこまで言うんなら…」となるわけですけど、思わず、子どもじゃあるまいし、食いもんでつられちゃって・・・と笑っちゃいました。

今回の寅さんは結構金持ってて…・
絵描きのおじいちゃんの飲み代も一緒に払ったり、しぶしぶではありますけど、ウナギ代も払ったり(たぶん・・・というのは払ったかどうかまでは映像ではわかりません)、満男の入学祝もつつもうと思ったり…(たぶん、直後の大騒動で結局包んでないような気もしますが・・・)最後も源ちゃんにラーメン御馳走したり・・・ぼたんさんががお金問題で困っていると財布を出してみたり…

御前様の水をまいている元気な姿も見ることができます。

ぼたんさんが元気で、声もおっきくて、なんかすごいエネルギーがあるんです。その明るいぼたんさんと、借金を踏み倒されて悔しがるぼたんさんのギャップがいいんです。その落ち込んだり疲れているのに、無理に元気にふるまおうとする姿がいいのです。

そして、ボタンをこんなに苦しめるやつは許せないと、犯罪覚悟で勢いよく飛び出して行った寅さん・・さすがに殺してやるとまでは言わなかったところがやさしいところかもしれませんが・・・あそこまで寅さんを怒らせた悪い奴が出てきたというのもあまり記憶にありません。

そこでのぼたんさんが「おとこのひとのこんなきもち、初めて知った」と、大きな目に涙をいっぱいためて泣くもんだから、もう、もらい泣きしてぼろぼろと涙があふれてくるんです。

話はまだ終わりません。

寅さんは、絵描きのおじいちゃんのところに、絵を描いてもらって200万円の代わりにぼたんにあげてくれって言うんです。

絵描きのおじいちゃんは、芸術は金のためじゃない!と断ります。

ここのやり取りも好きで、芸術家としては金のために絵を描いてるのではない。でも、絵で食べている。という矛盾みたいなものもあるんだけど、でも、逆に、金のために描いているんじゃなければ、何のために描くのかですよね。

ここでは、ぼたんという一人の若い女性が一生懸命にためたお金を取られて悲しんでいる。その人のために、あなたの力・・・能力で、その人を助けてあげられないのか?という寅さんの熱い気持ちです。寅さんは金を工面しようという申し出には「たかりじゃないんだから」と断るんです。ここがすごいところで、普通だったら、ありがとうとなってしまいかねない・・・寅さんだって、最初はお金を出そうとしたんだから。でも、その絵描きさんに対して、自分が金をもらいに来たと思われることはすごく嫌がるわけですよね。そういうことで付き合いを持ったわけじゃないということなのでしょう。

でも、この人なら、自分の気持ち、ぼたんの気持ちを理解してくれる。だから、その力を借りようとしたんですね。

協力してくれない絵描きさんに、寅さんは、自分があんたを世話してやった時は、見返りを期待しようなんてちっとも思わなかったし、あんたが望めばずっと、居させてやろうと思った。困っている人がいて、それを自分の力で何とかしてあげられるなら、何とかしようと思うのが寅さんです。いま、自分にはぼたんを助ける力がない。その力ををあなたが持っているのに何で助けようとしないんだ!?という感じで迫ります。(ちょっとおしつけがましいセリフなんだけど、寅さんが言うと、それがすんなり入ってくるんです)

それに対して絵描きさんも、怒るでもなく、寅さんの気持ちも分かりながら、金のために絵を描くことはできないと、拒むわけです。玄関先で小さくしゃがみこんだママの姿が、すごくその悩んだ様子を映し出しています。

まだ話が終わらないところがすごいんです。
寅さんがボタンのところに様子を見に行ってみると、なんと絵描きのおじいちゃんから絵が届いていたんです。
200万で買うという人がいたけれど、ぼたんさんは売りませんでした。そのおかねの値段以上のものを大切にしました。
それは、200万のために寅さんが本気になっておこっれ暮れ、何とかしようとしてくれた大きな価値と同じように、何でそれが贈られてきたかはぼたんさんにはその真相は明らかになっていませんが、それでも、200万円というお金以上のものをその絵に付けたわけです。

芸術は金のためにやるんじゃない。
という、絵描きの言った言葉が、ここでまたなるほどと思うのですが・・・

芸術は、人に何かを感じさせる、そのひとなりの価値を作品に与えるということなんでしょうか。
たまたま、それが、お金という基準で図られることがあるかもしれませんが、それは、たまたまであり、作品一つ一つの価値というのは、それを作った人や見た人にとってそれぞれの気持ちという別の基準の価値も持つんでしょうね。

・・・・うまく言えませんが・・・

そんなことを感じました。

なんにしても、人の優しさを感じられるすばらしい作品でした。

第17作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け HDリマスター版 [DVD]

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故郷

2009年02月18日 | 男はつらいよ・山田洋次
故郷

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山田洋次さんの映画はすばらしいです。そこには人が生活しています。

石船の仕事をしながらの生活がとても興味深いものでした。

故郷という題名ですが、故郷というものはその土地というだけでなく、営々とした生活の継続というか、積み重ねなんだと思いました。生まれ育ってその生活が普通の生活として毎日毎日積み重ねられていって、心にしみこんでいくのだと思います。

時代の流れのなかで今まで普通に生活していた家族がとうとう、島を出て行かなくてはならなくなります。最後の仕事での船の中で、廃船を燃やしているのをみながら、「大きいものとか、時代の流れには勝てないというけど、その大きいものというのはなんなんだ?なんで自分たちはそれに勝てないのだろう」と悔しがります。とても泣けます。そうやって、多くの人たちが大きな物、時代の流れに勝てずに故郷を離れていったのでしょう。

しかし、この石船の仕事自体が時代の流れでできた物です。開発による埋め立てがあるからこそこの船の存在意義があるわけで、それもより便利になれば、大きな船や交通機関の発達によりトラックの方が安く便利になって行けば消えていくのも必然です。その必然の中で一生懸命生きているからジーンと来るわけです。

それは、その時代の移り変わりというだけでなく、今の時代にも通じるものがあるのかもしれません。

今の時代は、そうやって集められた労働者でしたが、その労働そのものも破壊されています。継続されるべき生活が破壊されています。故郷を失ってしまったように感じるのは、景色が様変わりするということだけでなく、人の生活の継続そのものが破壊されているということなのかもしれません。

人間のしあわせは、きっと、生活の継続なんですね。

ちあきちゃんという子どもが出てきます。お姉さんの方です。妹のまゆみちゃんはちいさいので両親とずっと一緒にいますが、千秋ちゃんは両親が働いているうちはずっと学校にいっていて、かえってくるとおじいちゃんと一緒にいます。おじいちゃんと一緒にいることがまさに故郷だったのかもしれませんが、最後のお別れのときにどきっとしました。

それまでたまに出てくるだけの女の子だったので、観客もそうですが、その子のことをあまり念頭においてないわけです。親もそのときまで、その子の悲しみをわかっていなかったのです。そこで最後におじいちゃんから離れたくない思いが噴き出して来るわけですが、それを見ながら涙が噴き出してきます。

最後、故郷を離れていった家族ですが、絶望で終わっているわけではありません。新しい生活の中で、また一生懸命に生きて、ささやかな幸せをつくっていくのだろうと思いました。大きいものや時代の流れには勝てないという言葉・・・・でも、大きい物は、時代の流れの中で力を失っていくものだと思います。それでも人々の生活は力強く継続されていきます。そういうものだと思います。がんばって生きなきゃね。

こうやってみてみると、やっぱり時代劇でセットで撮影している場合ではないような気も・・・しますが・・・それも終りなようなので、山田洋次さんの次に期待です。・・・とはいっても、時代劇のやつがつまらなかったわけじゃないけど・・・いや、面白かったですよ。でも、その瞬間の時代を撮り続けてほしい人でもあるので。

夫婦の愛についても考えました。ハリウッド映画なんかみてると、抱きついてキスして、物理的に寄り添うことで愛を表現します。いや、お国柄かもしれません。アメリカではそれが普通なのかもしれません。
この夫婦は、抱き合ったり肩を寄せ合ったり、手をつないだりするわけではありませんが、心が寄り添ってるなあ・・・と感じます。

今だからこそ、故郷2なんていうのをやるのも面白いのではないでしょうか。

2007-02-15 19:09:00

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ちょうど2年前に見たんですね。

今回は、淡々と見ていましたが、思わずぐっときたのが最後の仕事のときの、回想シーン、民子さんが免許を取ったときの幸せな時期のシーンから、また現在のシーンに切り替わる所で、夢中になってて気付かなかったけど、振り返るとあのときが幸せだったんだなあ・・・って感じで、すごく寂しいような悲しいような気持ちになりました。

そして、おじいちゃんが千秋ちゃんに自分の生まれた島をよくみておけといったところも良かったです。

大きいものってなんだ!?と問いかけるところも良かったです。

あと、石をガラガラガラと落とすシーン。音楽と一緒に船が傾いて石が駑馬って海に落ちていきます。そして、その石が落ちていきながらこれでもうこの生活が終わるんだと・・・ぐぐぐっとくるわけです。

そして千秋ちゃん。最後におじいちゃんから離れたくないと船に乗るのを嫌がるシーンはもう・・・どばっと涙が溢れ出しました。

一生懸命生きて、ここで生きて生きたいと思っても、それがかなわない。そんな散っちゃ名願いさえその「大きなもの」に流されつぶされていきます。でも、それでも人間は生きていくんですねえ・・・

前にも書きましたが、故郷2をやってほしい。
千秋ちゃんとまゆみちゃんを主人公にして。いいと思うんだけどなあ・・・
この2人の名前、役者名か実名か知りませんが、同じ名前ですね。

同胞

2009年02月15日 | 男はつらいよ・山田洋次
同胞 [DVD]

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同胞と書いて「はらから」と読みます。

実は今まで見たことの無い映画でした。
寅さんとずっとみ続けてきて、今、寅さん以外の山田洋次監督の映画を見たらどう感じるだろうと、ちょっと楽しみです。

といっても、この映画自体は始めてみるので前と印象がどうのこうの・・・ということではないんですけど。
この同胞をみて、家族と故郷を見る予定です。

・・・ということで、同胞をみました。
地味な設定と思っていましたが、じわじわじわじわとなんかこみあげてくるのです。
みんなで上演を決定するところも泣きましたが、劇と農家の人たちの姿とが重なったり、東京に出た人たちも見た目にかっこよくというか、垢抜けているように見えても、その現場でつらい生活があって・・・そんなことが歌と重なって、ずっとじわじわと涙が出てくるのです。

そして、最後の別れも悲しいです。でも、こういう別れは、後ろ向きじゃないところがいいんですよね。みんなの思いがいっぱい詰まった別れです。

そして、こうのさんはまた違う土地で同じようなことを続けていくのですが、最初の始まったばかりの寒い情景の中で、寒さを吹き飛ばすように歌いだします。前のめりになって、力強く歩きながら、力強く歌うのです。そしてコーラスが重なって、また感動なのです。

あと、恋模様切なくて・・・自分の好きな人が他の人を好き。あきらめるしかないと思いながらも、やっぱり好きなものは好きなままで、その思いを消そうとしても余計考えてしまうだけで・・・そして、自分がそう思っているからまた片思いしてるその人のつらさもわかるんでしょうね。そういうつらい状況のあの女の子、寅さんの旅芸人の娘ですね。いい役をもらってるなあ・・・

結構地元の人がそのまま約についているようで、郵便局のお兄さんはそのまんま郵便局の人で、ラブレターのエピソードもほんとの話だそうです。

第13作 男はつらいよ 寅次郎恋やつれ

2009年02月11日 | 男はつらいよ・山田洋次
第13作 男はつらいよ 寅次郎恋やつれ HDリマスター版 [DVD]

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今回も、寅さんはつらかった。

旦那を亡くし傷心の歌子さんに寅さんはばったり出会い・・・

歌子さんが仕事を探しに東京に戻ってきて・・・

社会の中で自分の役に立てる仕事は無いか・・・心の張りあい・・・自分の生きている意味というか・・・歌子さんは自分で幸せをつかもうと、色々模索します。それは人に与えられたものでなく、自分で選んだものです。

とらやでふらふらして花でも摘んでりゃいいじゃないかって、まったく逆のことを言っちゃうんですね。寅さんは、やさしく包んで守ってあげたいという気持ちが君は何もしなくていいから、何も心配すること無いよって話になってしまうようです。

だから、さくらさんのお兄ちゃんは「歌子さんの幸せをちっとも考えてない!ただ歌子さんに家にいてほしいだけじゃない!それじゃお兄ちゃんが幸せなだけよ!」みたいなことをいわれますが、かなり後からズシンと来たんじゃないでしょうか。

花火を見る歌子さんの背中を見ながら・・・やっぱり歌子さんは遠くの花火をまるで未来を見つめるように背伸びをしてみています。
そんな歌子さんを寅さんは寂しそうに見つめます。もう、何の言葉もありません。気の聴いた言葉なんて思い浮かばないし・・・歌子さんの姿を見て、自分が必要とされていないことをあらためて認識してしまったんでしょうね。

皮肉にも、歌子さんは寅さんに出会うことで前向きになって、寅さんから飛び立ってしまうのです。

あと、お父さんですね。歌子さんが本当に今つながりたかったのはお父さんだったんですね。

寅さんはこの関係にはかなわねえなあ・・・と思ったに違いありません。

歌子さんのこと満男は好きなんですね。役得ですね。歌子さんに抱きついて・・・まったく・・・リリーさんにもキスされてたっけ。

中村はやとくんは結構得してますね。吉岡君は・・でも、かわいそうじゃないか。泉ちゃんとか、綾ちゃんだったかな?キスしたりしてるからね。

キスキスキス・・ハグハグ・・・キスキス・・・ハグハグ・・・・