華語り

心に華を!!

夏の終わりの小旅行

2009-08-27 19:58:26 | 道々之記

日曜日に夏の仕事が一段落し、月曜日から遅い夏休みになりました。
私の休みに合わせて、夫も先週末から休暇をとっており、帰省していた長男は、日曜日に帰るという。
七尾の美術館で山下清の展覧会をやっているので、見に行きがてら、せっかくなので一泊してこよう、ということになり、ネットで旅館を検索していたところ、パソコンを覗き込んだ長男、「泊まりに行くなら帰るの延期しようかな」とのたまう。
「帰りなさいよ」とも言えず、結局長男も連れて行くことにしました。(彼が行ってくれると、車の運転を任せられるので、楽といえば楽なのですが)

月曜日。午前中は黒点病になったバラの鉢替えや、おろそかになっていた庭の手入れなどをして、午後、七尾に向けて発つ。
3時前に七尾に着きましたが、あいにく月曜日は美術館の休館日。
チェックインを6時に予約してあったので、旅館に行くには少々早い。
何処へ行こうか、ということになり、大人3人で行くようなところではないかもしれませんが、のとじま水族館へ行くことに。
のとじま水族館へは20年以上前に行ったきりなので、記憶も定かではありません。入場料の高さに少々引いてしまいましたが、なかなか見ごたえのある水族館でした。

ブリやカレイといった、スーパーでおなじみに魚たちが元気よく動き回っているさまは、とても新鮮でした。

ちょうどアシカ・イルカショーが行われる時間というので、童心に帰って見ていくことにしました。

 

 

ペンギンのプール。
人の歩く通路が水面より低い位置にあるので、ペンギンが水中を泳いでいる様子を観察することができます。

こちらはカワウソの水槽。
ホールの上部の透明な円筒の中に水が引かれていて、右手の水槽から、木を伝ってカワウソが上ってきます。川の中で水遊びをしているといった趣向。

 

トンネル状の水槽。
真横だけではなく、頭の上を魚やイルカたちが泳いでいくさまは圧巻。

昨今の水族館は、なかなか侮れません。

そうこうしているうちに水族館の閉館時間となり、旅館へ行くのにもちょうどよい頃合となったので、能登島を離れ、この日は和倉温泉泊。

 

翌日は真っ先に、山下清の絵を見に七尾美術館へ。
「長岡の花火」をはじめとする貼り絵やペン画、水彩など、100点以上もの彼の作品を見るのは初めて。
最初は学園生活になじめなかったようですが、次第に生活に溶け込んで、その中で生まれた作品の数々はユーモラスでほのぼのとしていて・・・
放浪生活の中で描いた(作り上げた)作品も実に温かみのある作品たちでした。


貼り絵や水彩画などの作品のほかに放浪生活の中で記した日記なども公開されていました。丁寧な字で緻密に記された日記でした。彼の日記には句読点がないのですが、そのことに関して清は、「話をするときに『点』や『丸』をつけない だから自分の日記にも『点』や『丸』をつけない」ということを言っており、なるほど、と思いました。古典の作品には句読点がありません。『源氏物語』などが「語り」の文学であったことを思うと、清の言うことも一理あるな、と。

印象的だったのは、「高射砲」という絵に添えられていた清の言葉。戦争という環境の中で、彼の作品の中にも戦争を題材にしたものが否応なく描かれます。
高射砲の炸裂したさまが、花火のように描かれていて、しかし明らかに「長岡の花火」などとは違って、どこか暗く重い雰囲気の貼り絵作品です。

「みんな爆弾なんか作らないで花火を作っていれば戦争は起らないんだな」

とても深い言葉です。

 

さて、七尾に来たらやはりここを訪ねないと・・・
というわけで、七尾城址へ向かう。
静謐な杉木立の中、アップダウンの激しい山城をしばし散策。
石垣の見事さはいつ見ても惚れ惚れとしてしまいます。

展望台から富山方面を望む。
澄み切った空の青と、さらに深い海の蒼が目にも優しく映ります。
写真ではよくわかりませんが、立山の稜線がぼんやりかすんで見えました。
かの人がこの地に立った時と時期は若干ずれますが、同じ風景を見ていたのかな、と思うと、感慨も一入です。


夫は今日から出勤、長男も昨日帰って行きました。
私はまだお休みですが、夏の間おろそかになっていた家の中のプチ大掃除を決行。
なんということのない日常が再び・・・