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映画・演劇のレビュー

濱野京子『レガッタ! 水をつかむ』

2013-02-21 21:56:47 | その他
 濱野京子の新作だ。しかも、久々の青春小説。さらにはスポーツ物で、高校生が主人公だ。これを読まずして、何を読む! と鼻息も荒く、本を手にする。ただいつものことだが、YA小説なので、カバーとか、イラストとかが恥ずかしい。電車の中で読むのは、ちょっとはばかられる。まぁ、一瞬で読み終わったからいいけど。  そんなことより、いつもの彼女の作品と較べると、この作品の出来があまりよくないことのほうが気になる . . . 本文を読む
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虚飾集団廻天百眼『夢屋 地獄変』

2013-02-20 20:32:14 | 演劇
 虚飾集団廻天百眼の実験公演。これは本公演よりは規模の小さい作品らしいのだが、なかなかどうして1時間20分の長編である。 これは今回の LINX’S参加作品なのだが、まるでイベント公演とは思えないような本格的なものだ。彼らはLINX’を乗っ取って、好き放題している。ここまで堂々とされると納得するしかない。  ひとりの少女が夢屋にやってくる。自分が見た悪夢を売るために、だ。セーラー服のこの少女を . . . 本文を読む
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態変『ミズスマシ』

2013-02-20 20:27:16 | 演劇
 『喰う』、『虎視眈眈』に続く態変の新作。(この2作品の間には福森さんの『ゴドーを待ちながら』があるのだが、ここではそれは別にしたい )前2作のイメージを引き受けて、この新作の登場だ。今回も前作同様とても明るい。近未来、文明の崩壊した世界が舞台のはずなのに、そこには悲壮感がない。榎忠さんによる美術に囲まれて、態変の役者たちは静と動を自在に行き来して、さまざまな表情を見せるパフォーマンスを表現する。 . . . 本文を読む
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演劇ソリッドアトラクションLINX'S 『Non stop to TOKYO 』

2013-02-16 21:09:21 | 映画
 今回のLINX'S は東京から4劇団を召集した『Non stop to TOKYO 』だ。しかも、今までとの違いは1劇団60分という中編を上演することだろう。そのため1プログラムは2劇団ということになる。僕は2日目の上演に行ったのだが、ニコルソンズはちゃんと1時間の作品になっているのだが、もうひとつの虚飾集団廻天百眼はなんと80分の長編。そのせいで、終演は10時半を過ぎてしまうという状況に陥るの . . . 本文を読む
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『ダイハード ラストデイ』

2013-02-16 20:08:10 | 映画
いくらなんでも、これはあんまりだ。先月『ルーパー』を見たとき、こんな中途半端な映画を見せるなら、さっさと『ダイハード』の新作を見せろ! と思ったけど、(というか、このブログにそう書いたけど)あれは却下する。これに比べると『ルーパー』のほうがずっといい映画だ。  こんなくだらない映画に『ダイハード』のタイトルをつけてもらいたくはない。過去4作品とこれとでは雲泥の差がある。これはダイハードではない . . . 本文を読む
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道尾秀介『光』

2013-02-16 20:07:21 | その他
 悪い小説ではないけど、このレベルの感傷には付き合えない。読み始めたから、一応は最後まで読んだけど、何とも思わなかった。子供たちの冒険を描いた日本版『スタンド・バイ・ミー』なのだが、こういう話はどこにでもあるから、ちゃんとした特質が必要だ。普遍を描くにも、共感だけではない突出した「何か」がなくては心に残らない。誰もがそれぞれの少年時代を持っている。それをどこまで客観的に、なおかつ、普遍的に見せるの . . . 本文を読む
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『ムーンライズ・キングダム』

2013-02-13 22:02:31 | 映画
 ウエス・アンダーソンの新作だ。今回もまた、とても不思議な映画だ。ほのぼのしてるのに、何だか残酷で、内容は特にはない。(そんなはずはないかぁ。でも、明確なテーマは前面に提示されない)それと、細部に拘りまくる趣味の映画だが、そこがとても楽しい。なんとも言い難い小さな小さな世界を見せてくれる。そして、いつものように今回もまた家族のお話だ。  冒頭の、家の中を見せていく部分から、一気にこのお話の特異な . . . 本文を読む
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南船北馬『ワタシのジダイ 昭和生まれ編』

2013-02-13 21:02:09 | 演劇
 昭和生まれの7人の男女が主人公となり、昭和という名の人生のテーマパークを旅する。これはゲームのようなものらしい。スーパーで温泉旅行が当たる抽選をしたら、この巨大迷路ツアーの招待状が当たったらしい。たまたま一緒になった見知らぬ7人。  この場に集められた彼らは、二者択一で、7人が一緒になり、同じ方向にむかうように指示されているのだが、最初は全員一致だったけど、少しずつ、7人の意見は割れていくよう . . . 本文を読む
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ゲキバカ『ごんべい』

2013-02-13 20:57:41 | 演劇
東京の劇団であるゲキバカが、大阪で、大阪の小劇場から20名以上のキャストを集めて、ゲキバカの8名とのコラボレーションで贈るお江戸を舞台にしたエンタメ・スペクタクル時代劇である。総勢30名以上となる大所帯、ゲキバカは2週間前に大阪入りして、現地のスタッフ、キャストと稽古を重ね、この超大作を作り上げた。未だかってない空前絶後の(同じこと、言ってるよ!)の作品である。 4日間の公演、ラストとなるス . . . 本文を読む
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『ひまわり 沖縄は忘れない、あの日の空を』

2013-02-13 20:52:00 | 映画
 映画としては題材に対する突っ込み方が浅く、中途半端な仕上がりになったと思うが、このテーマで誰もが素直にこのテーマと向き合っていくためには、こういう作り方は仕方がないことかもしれない。昔よくあった学校でみんなで見る教育映画のような作品である。(というか、それ、そのまま)  映画の解説にはこうある。  1959年、米軍のジェット戦闘機が墜落、炎上しながら宮森小学校へ激突し、学童11名、近隣住民6 . . . 本文を読む
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『ライフ・オブ・パイ』

2013-02-10 22:44:13 | 映画
 アン・リー監督の新作である。何をおいてもまず劇場に駆けつける。内容なんか、どうでもいい。無条件でまず、見る。アン・リーが裏切ることはない。と、思うのだが、今回はなかなか劇場に行けなかった。公開から2週間以上経って、ようやく、目撃する。  実は嫌な予感があった。話がこういうヒューマンドラマで、しかも、3D大作。ストーリーを聞くと、なんか、アン・リーらしくはないファミリーピクチャー仕様。でも、天下 . . . 本文を読む
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『ひまわりと子犬の7日間』

2013-02-10 22:34:11 | 映画
 また、動物ものか、しかも、またまた犬か、と食傷気味で、見始めたのだが、しばらくすると、これは従来の犬とその飼い主の愛情物語とは、まるで違う作品だということに気付く。新鋭、平松恵美子監督は、このシビアなお話を、『ハチ公物語』から連綿と続く松竹の愛犬物の歴史の先に、何食わぬ顔で作り上げた。なんてしたたかなんだ! 昨年、彼女は、山田洋次監督に師事し、『東京家族』を書きながら、その裏で、この映画を作って . . . 本文を読む
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妄想プロデュース『農業少女』

2013-02-10 22:10:19 | 演劇
 野田秀樹の傑作戯曲を池川辰哉が演出する。今なぜ彼が既成戯曲に挑戦するのか。久々の公演となった本作は再出発するためのリハビリ興行とでも、いうべきものだろう。スタジオガリバーの小空間で、基本的には一切舞台装置を用意せず、その細長い空間だけを、生かして、この作品を忠実に演じる。本公演ではなく、実験公演と銘打つのも、今回の企画が従来の妄想プロヂュースの流れからは異色なものだからだろう。  僕が見たのは . . . 本文を読む
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『荒川アンダーブリッジ THE MOVIE』

2013-02-08 22:44:50 | 映画
 前半はめちゃくちゃおもしろいのに、後半になると、びっくりするくらいに、失速する。お話がまるで広がっていかないのだ。アイディアの面白さだけで、それを展開させていくだけの力がないから、こうなるのだ。それは原作であるコミック自体の問題なのか、それともこの映画の構成力のなさが原因か。  どっちにしても、もったいない映画だ。わけのわからない住人たちが住む荒川のほとり。彼らのド肝を抜かされるような風態に、 . . . 本文を読む
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『アフロ田中』

2013-02-08 22:40:46 | 映画
 あほらしい映画だが、身の程をわきまえて、まじめにアホをしているのは、好感が持てる。でも、ただのアホ。大体「アフロやめりゃいいやん。」それで、すべて方がつくことなのだが、それを言ったらおしまいなので、誰も言わない  アフロという飛び道具を中心にして、もてない男が、自分なりに必死で生きる様を描くのだが、その滑稽でバカバカしい姿に共感できる映画にできたなら、よかったのだ。でも、それって簡単なことでは . . . 本文を読む
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