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映画・演劇のレビュー

『闇金ウシジマくん Part3』

2016-10-02 20:01:49 | 映画

今一番ヒットしている映画は『君の名は。』 公開から4週間で、すでに興行収入は100億を越えたらしい。その次は『怒り』のようだ。先週末TOHOシネマズ梅田で僕が勝手にリサーチした。(というか、映画を見に行った時の劇場の割り当てとチケットの売れ良き状況からそういう判断が可能なのだ。)

 そして、その次に入っている映画は、たぶん、なんとこの『ウシジマくん』なのであろう。土曜の2時の回で見たのだが、2番スクリーンで上映されていた。7割くらいの入りだろうか。キャパシティが2番目のスクリーンなので、これでも十分だろう。TOHOの梅田は、もともとシネコンではないから、かなりいびつなスクリーン配置で、大きいスクリーンが3つと後は小さなキャパのスクリーンしかない。(別館の9番スクリーンは、200強あり、見やすいけど。)

 そんなこんなのウシジマくんである。今回も2時間11分の長尺だ。しかも、ウシジマくんはほとんど出てこない。なのに、そこそこ、ちゃんと面白い。それは作り手が観客の求めているものに熟知していて、ツボを外さないからだ。しかも、要所要所は、ちゃんとウシジマくん(山田孝之)が締める。だから、問題ない。ウシジマくんは狂言回しという立ち位置だ。

 ここでの主役は「お金」である。金に追いまくられ、金に溺れる。金で破滅する。でも、金が大好き。目先のことにしか関心はない。というか、目の前のことでいっぱいいっぱいなのだ。ちょっと考えれば闇金から借りるなんてありえないと、わかる。しかもカウカウファイナンスでは週で5割という法外な利息を要求されるのである。返せるはずもない。なのに、彼らはそこに頼る。頼りとする人はウシジマくんしかいないのだ。

 今回のお話はバカなネットビジネス。お金を増やす講座。受講者に高額の教材DVDを買わせてどんどん儲けていくカリスマ教祖とその信者たち。ネズミ講スタイルで、キックバックするのも、昔ながらのやり方で、一時は儲けてもすぐに破綻する。わかっていても、一度味をしめたなら、忘れられない。まぁ、闇金も同じで、借りたらその瞬間だけ、ほっとするけど、すぐに地獄が待っている。わかっていても、借りに行く。人生が終わる。

 ウシジマくんのやり方は最初からえげつない。ちゃんと「おれらはえげつないよ」と教える。そして、えげつなく取り立てる。とても正直で気持ちいい。なぜ、彼らがこんなことをしているのか。そんなことはどうでもいいのだ。これが彼らであり、彼らはそうして生きている。「きれいごと」ではないのがいい。映画はずっとお金のことしか描かない。だから、映画を見ながらもお金のことを考えることになる。お金に拘るのは醜い。愚かで惨めだ。そんな人間たちばかり出てくる。ウシジマくんは容赦ない。殺伐とした気分になりそうなはずなのに、見終えてそうはならない。そこがこのシリーズの魅力だ。次の『ファイナル』もきっと見てしまいそうだ。

 

 


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