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映画・演劇のレビュー

2006年キネ旬用ベストテン

2006-12-09 10:04:11 | 映画
 キネマ旬報関西読者会から送られてきた今年公開された映画のリストを見てため息をつく。数えたら日本映画が279本。外国映画が497本もあった。よくもまぁ、こんなにたくさんの映画が(とりあえずは)スクリーンにかかったものだ。

 関西未公開作は、まだまだあるし、劇場にかからず、DVD公開のみの映画はその数知れず、トータルすると1000本なんて軽く越えているはずだ。(2000本といわれても驚かない)

 こんなにも映画が溢れかえる中での、ベストテンなんかに何の意味があるのか。とはいえ、年末のお楽しみなんで、とりあえずチェックを入れてみたら12月7日現在で日本映画93本、外国映画97本を見ていた。(リストは05年12月から06年11月まで封切作品を対象にしている)めぼしいものはほぼ見ている。その中から選んだベストテンである。もちろん、気分で選んだので明日になれば変わるくらいに軽いものである。

 外国映画

   ① うつせみ 
   ② 青春漫画
   ③ ニューワールド
   ④ クラッシュ
   ⑤ 女は男の未来だ
   ⑥ PROMISE・無極
   ⑦ 春が来れば
   ⑧ 隠された記憶
   ⑨ 僕の大事なコレクション
   ⑩ アメリカ、家族のいる風景
   次 ある子供


 日本映画

   ① やわらかい生活
   ② あおげば尊し
   ③ 間宮兄弟
   ④ 夜のピクニック
   ⑤ 虹の女神
   ⑥ フラガール
   ⑦ 時をかける少女
   ⑧ ストロベリー・ショート・ケイクス
   ⑨ 欲望
   ⑩ 明日の記憶
   次 地下鉄に乗って

 キム・ギドクの『空き家』が公開されたのがうれしい。邦題が陳腐な『うつせみ』なんてものになり、それにはがっかりだが仕方ない。昨年字幕なしで見たのだが、それでも衝撃を受けた彼の最高傑作。今までの過激さが影を潜めて、とても心地よい幻想的な世界の中で、絶対的な孤独が描かれる。一緒にいるのに一緒ではない男と女。本来いるはずのない場所に2人で行き、痕跡もなく去っていく。こんなにも美しく悲しいラブストーリーはない。昨年から決まっていた今年のベストワンである。

 2位の『青春漫画』はこのブログに書いてる。『永遠の片想い』のイ・ハンの到達した究極の愛の物語。今年も相変わらず韓国映画が席巻した。ベストテン外になったが、鬼才ポン・ジュノの『グエムル・漢江の怪物』の素晴らしさ。ホン・サンスの新作も見てたのがうれしい。

 また、ベストテンにテレンス・マリックやチェン・カイコーが並ぶのも幸せなことだ。マリックなんて10年に1本くらいしか見れないのだから。

 そんな中次々に新しい才能も現れる。ポール・ハギスのデビュー。リーブ・シュライバー、リュ・ジャンハの登場。その他多数。


 日本映画は、今第二の黄金期に突入したのではないか。興行的にも、作品的にも充実しており、気付くと毎日日本映画ばかり見ている週も多い。もちろんヒット作がベストテンに入ることはないが、今回10位に入れた『明日の記憶』は興行的にもヒットした作品で、敢えてここに入れてみた。この1本で渡辺謙は今年の主演男優賞を決定付けた。

 とても10本なんて選べないけど、敢えてこの10本。そんな中でベストワンは文句なしに『やわらかい生活』。広木隆一が描いたひとりで生きる女の日々のスケッチは胸に痛い。

 老いと死を見つめた市川準。そして、あの『家族ゲーム』から20年。森田芳光が再び<今という時代を生きる家族のかたち>を提唱した傑作が第3位に。

 以下の作品はこのブログで触れているので時間があれば見て欲しい。

 
 

 

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