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映画・演劇のレビュー

『アダム&アダム』

2022-04-05 10:56:54 | 映画

このタイトルはいただけない。せめて原題通り『アダム・プラン』にすべきだった。もっと大作感のあるタイトルがいい。これではあまりに軽くなりすぎるのだ。この映画はよくあるファミリーピクチャーに分類されて軽く扱われるのにはあまりに惜しい出来なのだ。『バック・トゥー・ザ・フューチャー』や『スターウォーズ』に比肩する傑作、とまでは言わないけど、かなりの完成度を保つ作品である。相変わらずネットフリックス映画恐るべし。

娯楽大作映画としては合格点の作品だ。昨年公開された同じ監督、主演コンビによる『フリー・ガイ』が思いもしない出来で驚いたので、今回も侮れないはずと思っていたが、前作に負けない作品に仕上がっている。子供だましにはならないけど、子供だって楽しめる娯楽映画の王道をゆく作品だ。12歳の少年と40歳になった彼というふたりのアダムを主人公にした映画だから、ハードなSFではない。でも、安易そうな設定を作品の力にしている。

たとえば、「タイムマシーンもの」で歴史の改変とかを扱うというのはB級SFの定番のお話なのだが、そこを約束破りも含めて、心地よい展開を見せるとか。『ターミネーター』以上の最悪の未来を何とかして避けようとする、という使命とか。若い日の母親に会う、とか、死ぬ前の父親と共闘して戦う、とか。いずれも安っぽい話なのに、それを承知でしっかり取り込む作り手の覚悟が素晴らしい。主演のライアン・レイノルズと(昔『ナイト ミュージアム』なんてのも手掛けてキャリアを積んだ)ショーン・レビ監督は、前作の成功で自信をつけてこの作品に挑んだのだろう。こんな話でも大丈夫だと踏んだ。彼らはちゃんと定番を踏まえて安心して見られる映画を作る。なのに、やすやすとその定番を取り込み、自分たちの力にした。

『スターウォーズ』の第1作を彷彿させるドッグファイトも見事だ。今更、というなかれ。あれもまた、この手の映画の王道だ。ここに書いた歴史に残る名作SF3作品を視野に入れて、うまくアレンジしたのだ。実にあっぱれ。


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