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映画・演劇のレビュー

原宏一『佳代のキッチン』

2011-04-22 19:41:55 | その他
 ロードムービースタイルの短編連作。と、いうか、1話完結の7話からなる長編作品。ひとつの場所で、ワンエピソード。読み切りスタイルというのは、昔よくあったTVドラマ的で最近の小説では珍しいパターンではないか。TVドラマでも最近はこのパターンは減っている。

 佳代が移動式キッチン車に乗って日本中を旅していく。15歳の時に居なくなった両親を捜しながら。様々な場所で店を出し、いろんな人たちと出会っていく。おいしいものを作って、みんなから喜ばれて、そこでの出会いと別れ。両親の消息。徐々に両親の秘密に迫っていく。

 単純だけど、話はよくできていて飽きささない。どのエピソードも人情ものだが、ちゃんと泣かせる。いささか都合よく作りすぎている気もするが、それでもやはりよくできているから、嫌じゃない。それどころか、読んでいていい気分にさせられる。こういうハートウォーミングは好きだ。まぁ、時間つぶしとしては悪くはないという程度なのだが、2日間往復の電車の中で、楽しませてもらえた。


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