習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

原田マハ『デトロイト美術館の奇跡』他

2017-02-25 01:11:21 | その他
原田マハお得意のアート小説。今回は4話からなる短編連作のスタイルで描かれる小さな奇跡のお話。ページ数も100ページ強と、とてもコンパクトな分量で、実際の出来事をモデルにした。財政破綻で閉鎖されそうになったデトロイト美術館が存続されるに至った軌跡を描く作品だ。この奇跡をささやかな物語として提示するのがいい。



まず、ある夫婦のお話から語り起こす。彼らがこの美術館の一枚の絵に心惹かれ、たった1枚の絵にふたりはどれだけ助けられたか、ということを描くお話。貧しいけど豊かな人生を送った夫婦。妻の死という悲しい出来事を描くのだけど、セザンヌの夫人を描いた1枚の絵を見ることで、励まされ、幸せな時間を過ごしたこと。そんな奇跡を描く冒頭のエピソードに心温まる。この珠玉の短編をスタートラインにして、4つのお話が続く。過去と現在が未来へとつながる。ひとりのお話がみんなのドラマへと。『楽園のカンバス』や『暗幕のゲルニカ』のような大作ではないのがいい。みんなの想いがデトロイト美術館を助ける。アートは確かに人の心に大切な「何か」を伝える。



岸田武士『罪の声』は時効になったグリコ・森永事件を題材にして、あの犯人たちはどこに行ったのかが描かれる。フィクションとしてある種の真実に迫る力作。



久々にマンガを読んだ。羽海野チカ『3月のライオン』。11冊を3日にわけて読んだ。普段は小説しか読まないから、マンガは読むのに時間がかかる。1冊40分ペースになった。でも、面白かったから、どんどん読めた。来月の映画版も楽しみだ。



マンガの映画化作品はよく見ているけど、原作を読んでから見ることなんかめったにないから、今回はそういう意味でもドキドキする。実写のキャストは基本イメージ通りで、上手いな、と思う。(何度となく予告編は見ているから)



先日、TVでアニメ版も1話だけだけど見た。まるで原作そのままで、少しがっかりだったが、実写版は、完結していないラストも含め、全体を描くから、そこでどんなアレンジがなされるのか気になるところだ。マンガそのままでは映画にならないし、それではつまらないものになるだろう。(連続アニメとして作るとき、ストーリー重視は致し方ないけど、難しいなぁ、と思わされた。まぁ、1話見ただけなので何もわからないけど。)早く見たい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 劇団不労社『生きてんだか ... | トップ | 『サバイバル・ファミリー』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。