75分という短めの芝居なのに、導入部分が長すぎて、いったい何の話なのかがなかなか分からない。なのに、結末部分はあまりに短かすぎて、あっけなく終わってしまう。
これって、芝居自身がうまく作れていたら見事な作劇術なのだ。よく分からないけど作品世界にぐいぐい引き込まれて行き、謎が解けると同時に一気にクライマックスに突入。あっという間に終わる、というパターンの傑作は多い。しかし、作者が思ったように作品が機能しなかった場合は、当然ただの失敗になる。蟹を巡るミステリーというバカバカしさは悪くないのに惜しい。
どこにでもあった小さな町の喫茶店が舞台となる。(今ではそんな店はどんどんなくなりつつある。)そこに、フリーの客がやって来る。(そういう店は常連客を相手に成立してる場合が多い。地域のコミュニティーを担ったりもしてる。)まぁ、ありがちな設定で始まる。そこに集う人たちとのふれあいみたいなものが描かれ、彼は、なぜか懐かしい気分になる。この導入から動き出しまでが長い。ひとり、ふたりと集まる過程で話が停滞するのだ。
丁寧に作られた美術(久太郎)も悪くない。しかし、主人公である彼の失くしてしまった記憶を巡る物語という骨格がはっきりしてからの、終盤に畳み掛けるような描写が欲しい。大事なところで一気に話が膨らまなくてはならないのに、萎んでしまうのはどうか。ネタバレからが単純すぎて、だからどうなのか、という本来描くべき部分が中途半端なまま終わるのがつらい。あと20分くらいの書き込みがなくては1本の芝居にはならない。
本多さんが描きたかったものは確かに伝わるのだが、それを成立させるには、もっと緻密なディテールが設定にも、ドラマ自体にも必要なのである。
これって、芝居自身がうまく作れていたら見事な作劇術なのだ。よく分からないけど作品世界にぐいぐい引き込まれて行き、謎が解けると同時に一気にクライマックスに突入。あっという間に終わる、というパターンの傑作は多い。しかし、作者が思ったように作品が機能しなかった場合は、当然ただの失敗になる。蟹を巡るミステリーというバカバカしさは悪くないのに惜しい。
どこにでもあった小さな町の喫茶店が舞台となる。(今ではそんな店はどんどんなくなりつつある。)そこに、フリーの客がやって来る。(そういう店は常連客を相手に成立してる場合が多い。地域のコミュニティーを担ったりもしてる。)まぁ、ありがちな設定で始まる。そこに集う人たちとのふれあいみたいなものが描かれ、彼は、なぜか懐かしい気分になる。この導入から動き出しまでが長い。ひとり、ふたりと集まる過程で話が停滞するのだ。
丁寧に作られた美術(久太郎)も悪くない。しかし、主人公である彼の失くしてしまった記憶を巡る物語という骨格がはっきりしてからの、終盤に畳み掛けるような描写が欲しい。大事なところで一気に話が膨らまなくてはならないのに、萎んでしまうのはどうか。ネタバレからが単純すぎて、だからどうなのか、という本来描くべき部分が中途半端なまま終わるのがつらい。あと20分くらいの書き込みがなくては1本の芝居にはならない。
本多さんが描きたかったものは確かに伝わるのだが、それを成立させるには、もっと緻密なディテールが設定にも、ドラマ自体にも必要なのである。