何をしても人よりワンテンポ早くなる彼女と、反対に何をしても人よりワンテンポ遅くなる彼。そんなふたりの物語。彼女は失くしてしまった1日を取り戻すために旅をする。そこで何を見つけることになるのか。
主人公の女の子(リー・ペイユー)が微妙にかわいい。美人ではないし、少し残念な顔なのだけど、そこがこの映画にはぴったりなのだ。そんな彼女を好きになる彼(リウ・グァンティン)と、彼女をだます色男(ダンカン・チョウ)の3人が繰り広げるラブストーリー。時間を巡るお話はたくさんあるけど、このちょっと微妙な設定はなかなか思いつかないだろう。こんなアイデアで最後まで引っ張るのか、と驚く。しかも、徹底してる。もちろんあり得ないお話なのだけど、それをちゃんと納得させるだけの展開で、楽しい。この映画の成功は監督のチェン・ユーシュンのこだわりと、先にも書いたがヒロインのキャラクターゆえだろう。
1秒の時間差でもそれが積み重なると1日になる。その1日を埋めるために時間を調節する。早かった分を失う。遅かった分を手にする。その空白の1日で何をするのか。(男の子目線で少しわがままなお話にはなるけど。)それが映画のクライマックスだ。ある意味たわいもないお話だし、突っ込みどころは確かに満載だけど、この世界観を受け入れ、あまり深くは考えないでそこに乗っかれると、とても楽しい。2時間、とても映画らしい夢を見させてもらえた。バスが海の中の道を行くシーンが美しい。