このタッチに馴染めない人は、この映画が受け入れられないだろう。9・11を描いた『ユナイテッド93』のポール・グリーングラス監督作品。正直言って初めて彼の映画を見た時、ついていけない、と思った。こういう「リアル」なドキュメンタリータッチ、というものになんだか嘘くささを感じたからだ。
だが、彼がその後、マット・デイモン主演のジェイソン・ボーンのシリーズ(2作目と、3作目だ)を手掛けて、そこでも『ユナイテッド93』と同じやり方を踏襲した時、彼を信じれるな、と感じた。娯楽映画の中でも、自分のスタイルを曲げない頑固さ。しかもそれで失敗するのではなく以前以上におもしろい活劇を仕上げてしまう凄さ。その時、いつは一筋縄ではいかない男だ、と思った。
そして、今回はイラク戦争である。彼はこの難しい素材を扱いながらも、ボーン・シリーズと同じようにちゃんとした娯楽アクション映画として仕立て上げてしまった。しかも、先行するアカデミー賞を総なめした『ハート・ロッカー』と較べてもまるで引けを取らない出来である。(というのは、ちょっと褒めすぎか。でも、まぁ、遜色はないことは確かだ)こんなにも単純な「いかにもアメリカ映画」というしかないようなわかりやすい構造の単純なお話なのに、である。
正義感から上官の命令に逆らい、国家をも敵に回しても真実を極めようとする主人公はジェイソン・ボーンとよく似ている。今回もマット・デイモンは巻き込まれ型ヒーローを演じる。
大量破壊兵器なんかなかった、という、もう誰もが知っている事実を核にした話は、目新しくはないし、ストーリーの展開もありきたりだ。だが、手持ちカメラを多用した迫真のドキュメントは、ロケーションの素晴らしさと相俟って、まるでイラクの混沌の中に身を置いた気分にさせられる。この映画のよさはそこに尽きる。臨場感溢れるこのモブシーンを作り上げただけでもこの映画は充分に成功している。
だが、彼がその後、マット・デイモン主演のジェイソン・ボーンのシリーズ(2作目と、3作目だ)を手掛けて、そこでも『ユナイテッド93』と同じやり方を踏襲した時、彼を信じれるな、と感じた。娯楽映画の中でも、自分のスタイルを曲げない頑固さ。しかもそれで失敗するのではなく以前以上におもしろい活劇を仕上げてしまう凄さ。その時、いつは一筋縄ではいかない男だ、と思った。
そして、今回はイラク戦争である。彼はこの難しい素材を扱いながらも、ボーン・シリーズと同じようにちゃんとした娯楽アクション映画として仕立て上げてしまった。しかも、先行するアカデミー賞を総なめした『ハート・ロッカー』と較べてもまるで引けを取らない出来である。(というのは、ちょっと褒めすぎか。でも、まぁ、遜色はないことは確かだ)こんなにも単純な「いかにもアメリカ映画」というしかないようなわかりやすい構造の単純なお話なのに、である。
正義感から上官の命令に逆らい、国家をも敵に回しても真実を極めようとする主人公はジェイソン・ボーンとよく似ている。今回もマット・デイモンは巻き込まれ型ヒーローを演じる。
大量破壊兵器なんかなかった、という、もう誰もが知っている事実を核にした話は、目新しくはないし、ストーリーの展開もありきたりだ。だが、手持ちカメラを多用した迫真のドキュメントは、ロケーションの素晴らしさと相俟って、まるでイラクの混沌の中に身を置いた気分にさせられる。この映画のよさはそこに尽きる。臨場感溢れるこのモブシーンを作り上げただけでもこの映画は充分に成功している。