
タイトルだけで読むことにした。もちろん阿川佐和子のエッセイだから失敗はないだろう。これは彼女のエッセイシリーズ最新刊で前作である『老人初心者の覚悟』の方が今の僕にはぴったりなのかもしれないが、年齢的に少し先輩の彼女の今を語るこちらをまず楽しむことにした。
椎名誠のエッセイを読んでいる感じに近い。たわいない文章。ただの身辺雑記。だけど悪くない。だから悪くない。そこここに今を生きるヒントがさりげなく散りばめられている。もちろん上から目線ではなく、自分目線である。70代に突入した先輩老人が日々の記録を通してこの先どう生きるかを教えてくれる。
これは僕にとって70代に向けての心構えのレッスンになる。老人による押し付けがましいのは鼻につくけど、彼女の文章は日々の発見に根ざしているから爽やかで楽しい。笑っているはずなのに気がつくといろんなことを教えられる。これはきっと(たぶん)これからの人生についてのテキストになる。まぁそんな大袈裟なものでもないけど、ね。
2021年7月から24年8月までの42篇のエッセイが並ぶ。60代の後半から70代に至る時間を背景にした。僕も最近この60代後半戦に突入した。彼女に負けないくらい毎日毎日を楽しみましょう。