習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『フィッシュストーリー』

2009-03-27 22:06:29 | 映画
 多部未華子ちゃんの泣き顔が実に可愛い。(写真参照)彼女が可愛いからそれだけでこの映画はよかったことにしておこう。彼女がフェリーで居眠りして、みんなに置いていかれる、というバカバカしさはいい。なんで私一人こんなとこにいなくてはならなのよ、って感じで、泣いてしまうのだ。だが、彼女の可愛さは映画の一要素でしかない。

 正直言っていろんなところに書かれたいい評判ほどには、いい映画だとは思えなかった。話下手すぎ。このコンビ(中村義洋・監督+伊阪幸太郎・原作)の前作である『アヒルと鴨のコインロッカー』ほどには面白くは無い。これをよく出来た話だとは思わない。強引過ぎるし、それぞれのエピソードが作られすぎ。嘘っぽいからお話に乗れない。ほら話であってもそれなりのルールがあるはずだ。これでは安直過ぎて乗り切れない。だが、このくらいがちょうどいい人もたくさんいるのだろう。

 4つの時代のそれぞれの話。一見別々に見えるお話が最後には見事にひとつにつながり幸福なラストを迎えるはずなのだが… これではだめだ。だいたい元ネタとなる逆鱗のエピソードがつまらない。その他である3つのお話はそこそこおもしろいのだが、いずれも中途半端だ。もうすこし独立した話としての仕掛けが欲しい。シージャックなんて嘘くさいし、濱田岳の話もオチがつまらない。レイプ現場に出会うシーンの緊張が伝わらない。というか、あそこ嘘くさい。大嘘をつく地球滅亡5時間前にしても、もうすこしヒネリが欲しい。全体的に話ユルユル。

 せっかくの魅力的なキャスティングがもったいないぞ。これでは。上手く話をつなぐと、嘘が目立つ。それに乗れないと、がっかりする。正義の味方がシージャックと戦う話なんてちょっとしたダイハードのはずなのに、せこいスケールなので嘘っぽくなる。未華子ちゃんの女子高生のばかばかしさと、真面目でシリアスな正義の人森山未来のトンマさが絶妙のハーモニーを作れたら充分笑える映画になったろうに… 残念だ。ラストの宇宙服の未華子ちゃんがおねむの顔をTVに向けるシーンは可愛いだけに、結局彼女の可愛さだけしか褒めるところないなんて悲しい。「時空を超えてすべてがつながった時、想像を超える爽快なラストがやってくる!」なんていう宣伝文句にだまされてはいけません。でも悪い映画ではないよ。僕のこの文章を信用しなくていいから。自分の目で確めて!

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