なんと客席の後ろにピッチング・マシーンを入れて、そこから舞台目がけてボールを投げ込む、というのだ。もちろん客席には防御ネットが張り巡らせてあるが、舞台にいる役者たちのところに凄いスピードでボールが飛んでくる。丁度舞台中央を直撃する。
舞台中央の花道には、ブランコが架けられ、観客と同じ方向を向き、ブランコに座っているキティーちゃんの着ぐるみを着た人物がいる。彼(彼女か)の頭上をボールは飛ぶことになる。もちろんそれ自体は芝居とは直接関係しない。
舞台では上手、下手に各3人の野球のユニホームを着込んだ男たちがいる。彼らによる会話劇がそこでは展開する。彼らの交わすとりとめもない話には全くなんの意味もない。失われたボールを捜す話と、映画を作る話が併行して、細切れに描かれる。コントのようなお話は、繰り返しも多く、ストーリーを形成しない。左右では別々の芝居を展開する。
ある種の方向性を提示しそうになるとそこではぐらかされる。そのもどかしさ。形になる前に損なわれていく。死んでしまったナガシマさんの肉を食らうエピソードすら、突出することもなく埋もれていく。
芝居にとってストーリーは必ずしも大切なわけではないが、ストーリーがドラマを引っ張っていくことで、作り手の意志が観客に伝わっていくことは大事だと思う。テーマ、意図が伝わらないことには創作とは言うまい。インパクトで、作品世界をひっぱっていくことには限界がある。この芝居の弱点はそこにある。
グリーンのネットで囲まれた舞台と客席からは、ただならぬものが始まる予感が漂う。客席中央の着ぐるみの偽キティーちゃん。シンメトリーになった舞台とそこで展開していくどこにも行き着かない袋小路のドラマ。
それが突然終結する。しかし、カーテンコールの後、「こんなことで終わるわけがないだろ」という言葉に続き、そこから再び芝居は再開する。ここからはストーリー性のあるエンディングを迎える。そんな中で、ずっとブランコに座り続けていたキティーが動き出す。するとキティーに向かって速いスピードでボールが飛んでくる。その鋭いボールを体で受け止めていく。これはかなり怖い。体だけでなく、頭にもボールが当たる。さらには周囲の張り巡らされていたセーフティー・ネットが突然すべて落ちる。舞台と客席を遮るものがなくなる。そんな中、さらにピッチング・マシーンからボールが飛んでくる。
こんなふうに書いていると、この芝居は内容云々ではなく、ピッチング・マシーンが怖いだけの芝居に見える。必ずしもそうではないが、そのインパクトがあまりに強烈なのだ。とても興味深い作りにはなっているが、残念な仕上がりだ。それにしてもこのタイトルは何だ?
舞台中央の花道には、ブランコが架けられ、観客と同じ方向を向き、ブランコに座っているキティーちゃんの着ぐるみを着た人物がいる。彼(彼女か)の頭上をボールは飛ぶことになる。もちろんそれ自体は芝居とは直接関係しない。
舞台では上手、下手に各3人の野球のユニホームを着込んだ男たちがいる。彼らによる会話劇がそこでは展開する。彼らの交わすとりとめもない話には全くなんの意味もない。失われたボールを捜す話と、映画を作る話が併行して、細切れに描かれる。コントのようなお話は、繰り返しも多く、ストーリーを形成しない。左右では別々の芝居を展開する。
ある種の方向性を提示しそうになるとそこではぐらかされる。そのもどかしさ。形になる前に損なわれていく。死んでしまったナガシマさんの肉を食らうエピソードすら、突出することもなく埋もれていく。
芝居にとってストーリーは必ずしも大切なわけではないが、ストーリーがドラマを引っ張っていくことで、作り手の意志が観客に伝わっていくことは大事だと思う。テーマ、意図が伝わらないことには創作とは言うまい。インパクトで、作品世界をひっぱっていくことには限界がある。この芝居の弱点はそこにある。
グリーンのネットで囲まれた舞台と客席からは、ただならぬものが始まる予感が漂う。客席中央の着ぐるみの偽キティーちゃん。シンメトリーになった舞台とそこで展開していくどこにも行き着かない袋小路のドラマ。
それが突然終結する。しかし、カーテンコールの後、「こんなことで終わるわけがないだろ」という言葉に続き、そこから再び芝居は再開する。ここからはストーリー性のあるエンディングを迎える。そんな中で、ずっとブランコに座り続けていたキティーが動き出す。するとキティーに向かって速いスピードでボールが飛んでくる。その鋭いボールを体で受け止めていく。これはかなり怖い。体だけでなく、頭にもボールが当たる。さらには周囲の張り巡らされていたセーフティー・ネットが突然すべて落ちる。舞台と客席を遮るものがなくなる。そんな中、さらにピッチング・マシーンからボールが飛んでくる。
こんなふうに書いていると、この芝居は内容云々ではなく、ピッチング・マシーンが怖いだけの芝居に見える。必ずしもそうではないが、そのインパクトがあまりに強烈なのだ。とても興味深い作りにはなっているが、残念な仕上がりだ。それにしてもこのタイトルは何だ?