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習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ホームレス中学生』

2008-12-10 17:38:34 | 映画
 古厩智之監督の作品はデビュー作からずっと見ている。PFFで受賞した8ミリ映画の『灼熱のドッジボール』を見たときから彼のファンになった。最新作『奈緒子』まで、そのすべての作品が好きだ。

 なのに今回初めて納得できなかった。見終えて暗澹たる気分になった。ショックだ。素材のせいとは言いたくない。だが、彼がこの企画のどこに魅力を感じたのか、まるでわからない。

 映画は少しも弾まない。おもしろくもならない。だんだん不安になってくるほどだ。彼が何に心惹かれたのかわからない、と書いたがホントは彼がこの「頼まれ企画」にまるで乗れないまま撮影をしたのではないか、なんて、思う始末だ。ただストーリーを追っていくだけ。それもなんら面白みもない話だ。

 だいたいホームレス中学生と言いながら、途中からはちゃんと家が出来ますやん。あまりホームレスしてないです。それに中学生が公園のうんこ(金色の滑り台状のモニュメント)で生活してたら、すぐに警察が来て補導されると思うが。お金ないまま生活するならもう少しやることがあると思うし、実話をベースにした映画のくせにリアリティーがないから突っ込みどころ満載。(まぁ、突っ込む気にもならへんが)中3の浅知恵、と笑い飛ばすには話の展開があまりにお寒い。
 
 しかも、高校生の姉(その役を池脇千鶴が演じてる! そりゃぁ、彼女はかわいいし、今でも高校生に見えるけどあんまりなキャスティングではござらぬか。似合いすぎてリアルからは程遠い)や大学生の兄までいるのに、彼らも神社の境内で棲んでいるとか、おかしいやろ。

 子どもたちからうんこの神様と呼ばれて慕われるエピソードは、それなりに笑えるけど、それ以上でも以下でもない。3人で暮らし始めてからも、1日100円で3食、とか、ありえん。笑わすためのエピソードとも思えない。(だいたいそれでは笑えんし)こんなあほ話で、映画を作らなくてはならないなんて、かなしい。どうして、こんなくだらない企画を引き受けたのだろうか。でも、引き受けた以上は、きちんと映画らしい映画に仕立てなくてはプロとは言えまい。

 ちーちゃんの高校生、小池徹平の中学生というあほなキャスティングをしてしまうところからして、この映画は全く本気には見えません。なんばTOHOシネマのプレミアスクリーンでの上映というのも、ギャグとしては笑えるが、なんかせっかくの劇場を全く有効利用できてないんだなぁ、と思うと悲しい。まぁ、それはこの映画とは関係ない話だが。

 大ベストセラーの映画化だが、こういう本が売れてしまうというのもなんだか情けない。それを映画化するという安易な企画はもっと情けない。しかも、出来上がった映画がここまでやる気の感じられないものになっているだなんて。思いもしなかった。衝撃的である。

 

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