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習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『曲がれスプーン』

2009-11-28 23:08:09 | 映画
ヨーロッパ企画と本広克行監督によるコラボ・シリーズの第2弾。前回(『サマータイムマシーンブルース』)と違って、今回はオリジナルのキャラを設定し、そこに主役として長澤まさみを迎えての作品となった。その結果台本は大幅に変更されてしまうことになる。そこで、作品自体の方向性も含めての見直しが必要なのに、木に竹を接ぐような台本となり、映画は残念ながら中途半端な出来となる。せっかく期待したのにがっかりだ。

 「カフェ・ド・念力」に集まってくるエスパーさんたちと、超能力とか、空飛ぶ円盤とかを今でも信じている女性との淡い交流を描くこの映画には映画らしいストーリーは皆無である。大きな事件は一切起きないし、5人+2人(彼らはまだ修業中)のエスパーさんたちと彼女との出会いと別れが、彼女の人生にどういう影響を与えることになるのかも、描かれない。ほんのちょっと胸が暖かくなるくらい。そのさりげなさが描きたかったにしても、あまりにあっさりしすぎた。しかも、あんなにもちゃちな空飛ぶサンタなんて、ありえない。あれを見てもう十分に大人である長澤が目を輝かせると思うか?(もちろんトナカイに乗った立派なサンタなんかが出てきたらもっとしらけるだろうが)もう少し考えて欲しかった。

 香川の田舎の平凡な町にたったひとりやってきた女の子(もちろん長澤ね)という設定をもっと大事にして欲しい。彼女の旅をどう捉えるかが、この作品の正否を決めたはずだ。これはこの少し変わった女の子を金田一耕助に見立てて、彼女がこの町にふらっとやってきて、ちょっとした事件と、さまざまな人たちと出会い、再び去っていくまでを描く話だ。このコンセプトには間違いはない。だからラストは駅での別れとなるのもさもありなん、である。でも、それが中途半端なので、作品の意図として伝わりきらないのが難点だ。

 なつかしい風景に出会い、心が癒されていくこと。超能力とかはただの方便にすぎない。なのに、原作の戯曲に引っ張られてこの映画のオリジナルのアイディアが生かされないままで終わった。

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