習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『US アス』

2019-09-12 20:40:09 | 映画

今回もホラー映画だ。ジョーダン・ピール監督の第2回監督作品。ただ前作の『ゲット・アウト』は黒人差別の問題を前面に押し出す社会派的なアプローチが根底にあったが、今回は完全な娯楽映画のパターンに収まる。そのぶん、安心して見ることが出来るが、お話自体は凡庸。だけど、これが実は侮れない映画なのだ。パターンのフリしながら、微妙なところでそこを巧妙に裏切りながら、ある世界観を提示する。

 それは、自分たちと同じもうひとつの自分たちがこの世界には存在する、ということだ。光と闇は本来なら交わることはないはずだったのに、それが溢れ出す。実はこれも前回同様、差別の問題が根底にはある。だが今回は黒人差別ではない。もっと普遍的な問題なのだ。

恐怖は最初はひとりの少女だけ、のはずだったが、それは、やがて彼女の家族全体にも及ぶ。さらには、彼らの友人家族。そして、この町全体へと。このどんどん加速していく状況が凄い。お話はどこまでも広がりを見せる。そして、最後は再び主人公の少女(今では大人の女性だけど)に帰ってくる。あの日の出来事が全ての始まりだったのか、と気づく。

 よくあるお話のように見せかけて、その実、従来のパターンには安易に収まらないのがいい。そして、荒唐無稽な設定をどこまでもリアルに描いていくから、その描かれる現実に押し切られていく。僕たち観客もまた彼女たちと同様、このあり得ない出来事を受け入れ、容赦なく戦わざるをえなくることになる。そんな問答無用の怒濤の展開なのだ。あっと驚くどんでん返しを見せるラストの衝撃も含めて、すべてが実によく出来ている。

 


コメント   この記事についてブログを書く
« りゃんめんにゅーろん『晴れ... | トップ | オリゴ党『サヨナフ』 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画」カテゴリの最新記事