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映画・演劇のレビュー

神原組プロデュース『わらわら草紙 七の章』

2022-11-30 18:16:27 | 演劇

今年もこの時期にちゃんと『わらわら草紙』の新作を上演する。すでに来春の「浮狼舎」、夏の「すかんぽ長屋」での公演も決まっている。コロナ禍でも全くペースを変えることなく芝居を続けてきた。きっと来年の秋に『八の章』を上演するはずだ。神原さんの勢いは止まらないし、彼女はそれを止めない。止めたなら死んでしまう。(冗談ではなく!)だからちゃんと見守りたい。だが、そこには悲壮感はない。とても楽しそうに演じる。それがいい。でも、本気だ。その覚悟は伝わる。

今回のテーマはなんと「希望」ということだ。そして共有道具は役者「山田百合香」。そんなのありか、と驚く。毎回共通で使用する共有道具を設定するのだが、生身の人間が道具とは。でも、こういうのもありかな、と思う。さもありなん、という印象を抱いた。道具というのは、言いようで、今回3本の芝居に同じ人物として彼女を登場させる、ということだった。黄静江(ファン・ジョンヘ)という同じ役名で同じ衣装で別々の作品の世界を横断する。

彼女は目に鮮やかな赤いチョゴリで、登場する。最初の「走る幽霊」(作演出、務川智正)ではワンポイントリリーフだったが、2話目の「ペコリーヌのオカマ人生相談」(作演出、押鐘健一郎)では準主役。そして、ラストの「ぎらぎら草紙」(もちろん作演出、神原くみ子)ではヒロインに。

3本で役の比重がどんどん進化していく。内容も先行する2本は軽いタッチの作品だったが、ラストは正統派ラブリトーリーという仕様だ。そこで時代を超えた愛を描く。神原さんは山田さんの持つ不思議なキャラクターを生かしてドラマ作りをする。さらに今回、なんとそこで神原さんがヒロインの恋敵を演じるのだ。なんだか凄い。(しかも神原作品なのに誰も死なない。)「わらわら草紙」というフォーマットで自在に遊びながら、さまざまな芝居にチャレンジしていく。

 

 


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