どうして大阪を舞台にしたらこういうコテコテの映画になってしまうのだろうか。「いかにも大阪」というイメージばかりが先行して、まるでリアルではない。まぁ、大阪以外の人がこの映画を見たなら「これこそ自然な大阪の日常風景だ」と、思えるのかもしれないが、なんだかそれって嫌だ。大阪で住む人間にとっては、ここはなんら特別な場所ではない。だが、そんなものは伝わらないし、どうでもいいことなのか。よくわからない。
大阪出身の李監督はわざとこのタッチを使う。大阪を知らないからこういう描写をするのではない。よく知っているから平気でこういう描き方が出来るのだろう。大阪のディープ・サウス西成で生まれ、裏表のないストレートな表現をする人々の中で暮らしたから、綺麗事ではない大阪が描けるとでもいうのだろうか。よくわからない。
だが、この映画で描かれるものは、別に大阪である必要はない気がする。これは舞台はどこででもいい普遍的な物語だ。だから、正直言うとそんなことよりも、ここで描かれるアマチュアボクシングの世界の方が興味深い。今までたくさんボクシング映画が作られたが、アマチュアの世界を描いたものは皆無ではないか。そういう意味でこの映画は実に興味深い。
ここで描かれる高校ボクシング部の姿はリアルなのだろうか。この映画が描く大阪と同じようにデフォルメされたものなのか。関係者に聴きたいところだ。だいたい大阪の高校でボクシング部がある学校は何校あるのだろうか。この映画では府下に4,5校しかないように描かれてある。たぶん事実だろう。とすると、彼らのモチベーションはいかがなものだろうか。余談だが、僕の通う高校には公立高校であるにも関わらずレスリング部が存在する。彼らはずっとインターハイや、国体にも出ている。だが、全国で戦うとなかなか勝てないようだ。彼らの実力のほどがどの程度なのかはよくわからない。そんなことよりも競技人口があまりに低いマイナースポーツに於いて、彼らを支えるモチベーションってなんなのか、そのことが気にかかる。
この映画でも、主人公たちは大阪府予選で、階級によっては参加者が2人とかいう状況の中で、1位を目指して戦う。プロではなく、アマチュアであることの意味とか、かなり危険が伴うスポーツを高校が認める背景とか、この映画が描くべき問題はたくさんある。だが、当然のようにそんな側面には蓋がなされる。
ここで描かれていくのは、天才ボクサーと、彼に影響されてボクシングを始めた努力型ボクサー、その2人の熱い友情の物語だ。なんとも古臭くて紋切り型なストーリーが用意される。しかも単純に試合のシーンばかりを串団子のように繋いでいくばかりだから、なんとも単調だ。しかも筧利夫演じるヤクザのような先生(彼の往年の大ヒット作『ハイスクール仁義』を彷彿させる!)なんかリアリティーゼロなのだが、映画はギャグではなく、あれでもシリアスだったりする。
と、いうことで、これはなんとも不思議な映画だ。一体全体何がやりたかったのだろうか。よくわからない。李闘士男監督は『お父さんのバックドロップ』の頃から、こんな感じの映画が大好きだ。一昨年のヒット作『デトロイト・メタル・シティー』もそうだった。なんともバランスが悪くくだらないと斬り捨ててしまうのも吝かではないような映画だ。だが、なぜか、それでもなんだか気になる。不思議な熱気を秘めている。一筋縄ではいかないのがその魅力だ。
大阪出身の李監督はわざとこのタッチを使う。大阪を知らないからこういう描写をするのではない。よく知っているから平気でこういう描き方が出来るのだろう。大阪のディープ・サウス西成で生まれ、裏表のないストレートな表現をする人々の中で暮らしたから、綺麗事ではない大阪が描けるとでもいうのだろうか。よくわからない。
だが、この映画で描かれるものは、別に大阪である必要はない気がする。これは舞台はどこででもいい普遍的な物語だ。だから、正直言うとそんなことよりも、ここで描かれるアマチュアボクシングの世界の方が興味深い。今までたくさんボクシング映画が作られたが、アマチュアの世界を描いたものは皆無ではないか。そういう意味でこの映画は実に興味深い。
ここで描かれる高校ボクシング部の姿はリアルなのだろうか。この映画が描く大阪と同じようにデフォルメされたものなのか。関係者に聴きたいところだ。だいたい大阪の高校でボクシング部がある学校は何校あるのだろうか。この映画では府下に4,5校しかないように描かれてある。たぶん事実だろう。とすると、彼らのモチベーションはいかがなものだろうか。余談だが、僕の通う高校には公立高校であるにも関わらずレスリング部が存在する。彼らはずっとインターハイや、国体にも出ている。だが、全国で戦うとなかなか勝てないようだ。彼らの実力のほどがどの程度なのかはよくわからない。そんなことよりも競技人口があまりに低いマイナースポーツに於いて、彼らを支えるモチベーションってなんなのか、そのことが気にかかる。
この映画でも、主人公たちは大阪府予選で、階級によっては参加者が2人とかいう状況の中で、1位を目指して戦う。プロではなく、アマチュアであることの意味とか、かなり危険が伴うスポーツを高校が認める背景とか、この映画が描くべき問題はたくさんある。だが、当然のようにそんな側面には蓋がなされる。
ここで描かれていくのは、天才ボクサーと、彼に影響されてボクシングを始めた努力型ボクサー、その2人の熱い友情の物語だ。なんとも古臭くて紋切り型なストーリーが用意される。しかも単純に試合のシーンばかりを串団子のように繋いでいくばかりだから、なんとも単調だ。しかも筧利夫演じるヤクザのような先生(彼の往年の大ヒット作『ハイスクール仁義』を彷彿させる!)なんかリアリティーゼロなのだが、映画はギャグではなく、あれでもシリアスだったりする。
と、いうことで、これはなんとも不思議な映画だ。一体全体何がやりたかったのだろうか。よくわからない。李闘士男監督は『お父さんのバックドロップ』の頃から、こんな感じの映画が大好きだ。一昨年のヒット作『デトロイト・メタル・シティー』もそうだった。なんともバランスが悪くくだらないと斬り捨ててしまうのも吝かではないような映画だ。だが、なぜか、それでもなんだか気になる。不思議な熱気を秘めている。一筋縄ではいかないのがその魅力だ。