
突然春真っ盛りになったが、そろそろ桜が開花する時期になってきた。ということでまずこのタイトルの本を読むことにした。
森沢明夫だから、安心して読める。だけどあまり多くは期待はできない。安全パイって感じ。だけど今回は少し驚く。最初思った話から強引に逸脱していく。もちろん僕が勝手に想像しただけで森沢明夫は最初からこういう展開を目論んでいたのだろうが。
冒頭の死から始まるミステリーかと思ったら、もちろんそうじゃない。彼がどんな人生を送ったかを描くのだが、リゾート施設開に反対する戦いを描くと思ったら、まるで違う。
2章までは死んだ彼が主人公で、リゾート開発反対運動に関わるまでの経緯が描かれる。ここからお話は本題に入るのか、と思ったら3章はいきなり20年後に話は飛び、彼の離婚した妻の話に。さらに4章は娘の話。5章は息子の話になる。これは壊れてしまった彼の家族の話だったのである。
彼がいきなりの事故で、ショックから声を失ってしまった後の経緯は間接的にしか描かれない。リゾート施設開発はもちろん破綻するが、彼の人生も破綻する。仕事を辞めて、やがて妻子とも別れてこの村で1人暮らしをすることになる。
こんな話になるとは思わなかった。しかも後半の3章はそれを妻子の視点から描く。彼は人生の後半生を桜の植樹とこの村(での日々)に捧げる。そんな彼を妻とふたりの子供たちが受け入れるまでが描かれる。だけどそれは彼の突然の死が契機になる。なんだか寂しいお話である。