
このエッセイ集を読みながらなんて上手な文章だろうとため息をついた。堀江さんの小説もそうなのだが、実に丁寧で端正。そのへんに転がってるエッセイって安っぽいものが多くいつも閉口させられるのだが、彼の書く文章はそのひとつひとつがまるで芸術作品だ。
これは彼が出会った様々な小説の中にいる女性たちについて書いたエッセイなのだが、紹介される小説の数々を体感したような気分にさせられる。読んだ気分ではない。その作品をともに生きたような気分なのだ。堀江さんの中でそれらの作品は今も生きていて、彼がそれらの作品のことを語ることで、ヒロインたちは命を吹き返す。
ここには新しい小説はあまりない。僕たちが読むような本の話ではなく、遠い異国で書かれた小さな小説が、彼の書庫から取り出され、いとおしむように語られる。
ここに収録されたほとんどの文章の書き出しは、堀江さんの体験とか、感じたことから始まる。それが、いつの間にか小説の中につながっていくこととなる。その流れていくようなタッチがすばらしい。「背表紙のむこうに、彼女がいる」そんな彼女たちに向けてこのエッセイはゆっくりと近づいていく。堀江さんがここにいて、なんでもない日々の生活の中で、かって出会った彼女たちともう一度出会い、その遠き記憶をたどる。
小説のヒロインたち、そんな彼女たちを生んだ作家たち。彼らと出会った堀江氏。この3者の幸福な邂逅がこの上質なエッセイを形作る。豊かな時間がここにはある。
これは彼が出会った様々な小説の中にいる女性たちについて書いたエッセイなのだが、紹介される小説の数々を体感したような気分にさせられる。読んだ気分ではない。その作品をともに生きたような気分なのだ。堀江さんの中でそれらの作品は今も生きていて、彼がそれらの作品のことを語ることで、ヒロインたちは命を吹き返す。
ここには新しい小説はあまりない。僕たちが読むような本の話ではなく、遠い異国で書かれた小さな小説が、彼の書庫から取り出され、いとおしむように語られる。
ここに収録されたほとんどの文章の書き出しは、堀江さんの体験とか、感じたことから始まる。それが、いつの間にか小説の中につながっていくこととなる。その流れていくようなタッチがすばらしい。「背表紙のむこうに、彼女がいる」そんな彼女たちに向けてこのエッセイはゆっくりと近づいていく。堀江さんがここにいて、なんでもない日々の生活の中で、かって出会った彼女たちともう一度出会い、その遠き記憶をたどる。
小説のヒロインたち、そんな彼女たちを生んだ作家たち。彼らと出会った堀江氏。この3者の幸福な邂逅がこの上質なエッセイを形作る。豊かな時間がここにはある。