
あまりにバカバカしそうで、こういう映画が劇場公開されるのってなんだか楽しい。シリーズ第3作にして初めての日本での劇場公開。それはもちろん東京が舞台で日本人俳優が多数出演しているからだ。主役を張るスターたちをこんな贅沢な使い方(使い捨て)をしていいのか、と驚く。
本国である中国では大ヒットした超大作。こんなにもバカバカしいことに湯水のようにお金を使い、贅沢の限りを尽くす。でも、この映画はただのバカではない。確信犯だ。わざとこういう作りをしている。
それにしても冒頭の派手なバカ騒ぎには驚かされる。「ウエルカム東京」を全力投球で表現している。この映画の基本姿勢を示唆する。日本をバカにしているのではなく、リスペクトすら感じさせる。ほぼ主人公並みの扱いの妻夫木聡の弾けっぷりには衝撃。アクセル全開でバカをする。成田から、新宿で、渋谷で、と、凄いスケールのオープンセットで再現される、恐るべきエキストラを動員しての大騒ぎ。どこまでやるのかとあきれるやら、なにがなんだかのバカ騒ぎ。主人公のデコボコ探偵コンビ、タン・レン&チン・フォンが東京を舞台に大暴れ。
ストーリーはシリアスになったり、ふざけたり、バランスはめちゃくちゃ。いったいこれはどういう映画なのか、と思う。長澤まさみがとんでもない。彼女の超シリアスな芝居は、このふざけた映画になじまないというか、ありえない。浅野忠信はこのバカ騒ぎを楽しんでいる感じ。みんなこの中国映画に一生懸命奉仕している、でもそれは媚びているのではない。この映画の基本姿勢に共鳴して、協力しているって感じだ。チェン・スーチェン監督の日本に対するリスペクトが感じられるから、腹は立たない。それどころか、よくぞまぁ、ここまでやってくれました、というある種の感動すらある。
単なる観光映画では終わらない。もちろん本格ミステリーであるわけではない。おふざけ映画でもあるけれども、超絶級の娯楽大作であることは確かで、この映画が前2作同様ちゃんと大ヒットしたのはよかった。バンコクやニューヨークでは成功したのに舞台が東京になったら、敬遠されるなんていうのは寂しいから、ね。あほらしい映画だけれども、それなりに楽しめたので、よかった。