久しぶりの神戸遥真。相変わらずかわいい小説か、と思ったけど、違った。これはかなりビターな内容だと思う。表のストーリーではなくその背景にあるテーマが重いのだ。そこはさらりとは描けないという作者の覚悟がある。
オンラインで知り合ったふたりの話をそれぞれのサイドから描く連作小説。もちろん2冊は独立した作品である。だからこの一冊でちゃんと完結する。だけど、それと同時に2冊セットでもひとつの作品であるとも . . . 本文を読む
これは『エクス・マキナ』や『MEN 同じ顔の男たち』のアレックス・ガーランドが監督・脚本したK24による超大作映画である。だけどよくある娯楽大作ではない。戦争映画だけど、派手な戦闘シーンからは遠く離れた映画である。だけどこの不気味さは悪夢としか言いようがない。荒唐無稽な話ではない。リアル過ぎて怖いのだ。こんな未来がある。確実にこの先すぐそこまで来ている。これは近未来のアメリカの現実かもしれない。い . . . 本文を読む
今回の君嶋彼方は高校生の日常スケッチである。「大人になれば忘れてしまう、全力でもがいていたあの日のこと」と本の帯にある。切ない6つの短編。
こんなにもドラマチック「ではない」日常スケッチなのに、こんなに胸に痛い。そして優しい。それぞれが傷みを秘めて生きている。触れられたら泣きそうになる想いを秘めて心静かにひっそりと教室の片隅で佇んでいる。
放課後の教室でひとり本を読む。幼なじみ . . . 本文を読む
『ドライブ・マイ・カー』の脚本家・大江崇允というのが名刺代わりになるのだろうが、僕は昔、彼の芝居をよく見ていたからその名前はなんだか懐かしい。旧劇団スカイフィッシュだったと思う。彼は映画監督になったのか、と感慨深い。演劇作品だった『適切な距離』と同タイトルの作品を映画としてリメイクしたことは知っていたけど、残念だが見ていない。もちろん『ドライブマイカー』は見ているけど、彼の監督作品はこれが初めてだ . . . 本文を読む