18歳の大学生が気づくと、10歳の男の子になっている、らしい。本人は今まで通りで変わらないつもりなのだが、周囲は彼を子供扱いする。10歳の男の子にしか見えないようなのだ。そこは、知らない家で、知らない人が居る。彼女は少年の叔母さんらしい。やがて、おじさんたちが帰ってくる。というか、彼ら夫婦は少年の両親だ。(本人は気付かない)彼らは母の実家であるこの田舎の家に、少年の転地療養のため引っ越してきた、 . . . 本文を読む
こういう青春小説を読んで、こんなにも素直に感動できてうれしい。作者が現役女子大生で、自分の体験を生なまま小説として描いていくことが結果的に上手く機能したからだろう。主人公が等身大であるのがいい。大人が頭で作った嘘くさい女子大生ではない。こんなふうにどこにでもいるような普通の女の子のありきたりな日常がこんなにもキラキラ描かれるって、ちょっとした奇跡だ。お話に無理がない。退屈になりそうなくらいにさり . . . 本文を読む
『その男の本、198ページ』というタイトルはあまりよくないなぁ。もう少しロマンチックなタイトルの方がよかったのではないか。『リメンバーミー』のキム・ジョングォン監督最新作だ。最近ではこういうファンタジータッチのラブストーリー映画が韓国から来ることが少なくなった。以前はどんどん作られていたのに観客の嗜好が変わったのだろうか。あれは明らかに岩井俊二の『Love Letter』の影響だったのだろうが、 . . . 本文を読む
満開座の芝居の中にあるアナーキーさ、ある種の熱さを、キタモトさんは抑えたタッチで見せようとする。今から18年前に初演された芝居なのだが、80年代の香りが濃厚な作品である。虐げられた人々の思いが爆発していく様は感動的だが、それを冷静な語り口で淡々と見せていくことで、芝居は流されないで、今という時間と拮抗する力を持った。独居老人たちが、権力の前で屈することなく自分たちの抵抗を見せる姿を彼らの側に寄り . . . 本文を読む