18歳の大学生が気づくと、10歳の男の子になっている、らしい。本人は今まで通りで変わらないつもりなのだが、周囲は彼を子供扱いする。10歳の男の子にしか見えないようなのだ。そこは、知らない家で、知らない人が居る。彼女は少年の叔母さんらしい。やがて、おじさんたちが帰ってくる。というか、彼ら夫婦は少年の両親だ。(本人は気付かない)彼らは母の実家であるこの田舎の家に、少年の転地療養のため引っ越してきた、らしい。
まず、この設定がおもしろい。田舎の家の広々とした部屋をリアルに作った舞台美術もなかなか凄い。何もなくだだっ広いだけの空間がなかなかいい雰囲気を醸し出す。
だが、そこで展開することになる本題である「お話」自体のほうは、いささか単調でつまらない。まるで設定を生かし切れないままで、持て余してしまうのが、なんとも残念でならない。少年がなぜ記憶を失うのか、きっかけとなった出来事を描く謎解きの部分と、今ここで暮らす日々との対比から、どんなドラマでも作れたはずなのに、なんの展望もなく、なんだか中途半端なままで終わる。ストーリーを転がすことができてないからだ。これではアイデア倒れだ。せっかくの秀逸なアイデアなのに、もったいなさ過ぎる。
最後の病院のシーンも、なぜこのセットの中に病室を作るのかよくわからない。しかも、無理からに、である。畳の上に白いベッドらしきものを置いたりしたらあきません。病室にしたいのならもっときちんと舞台転換をしてください。段取り悪すぎてまるで効果なし。
散々なことを書いたが、今回の作、演出を担当した大東広志さんは決して悪くはない。役者たちも頑張っている。第2劇場という金看板を背負っての大勝負なのだが、大先輩である阿部茂さんや音間哲さんという2大巨人を擁する2劇のカラーをしっかり受け継いで本公演にふさわしい成果を上げている。芝居の作りの緩さは、阿部さん譲りで、2劇のカラーなのかもしれない。ただ、緩さが魅力にまでは至らないところが、この作品の問題点だろう。というか、それって経験の差か? 今後に期待したい。
まず、この設定がおもしろい。田舎の家の広々とした部屋をリアルに作った舞台美術もなかなか凄い。何もなくだだっ広いだけの空間がなかなかいい雰囲気を醸し出す。
だが、そこで展開することになる本題である「お話」自体のほうは、いささか単調でつまらない。まるで設定を生かし切れないままで、持て余してしまうのが、なんとも残念でならない。少年がなぜ記憶を失うのか、きっかけとなった出来事を描く謎解きの部分と、今ここで暮らす日々との対比から、どんなドラマでも作れたはずなのに、なんの展望もなく、なんだか中途半端なままで終わる。ストーリーを転がすことができてないからだ。これではアイデア倒れだ。せっかくの秀逸なアイデアなのに、もったいなさ過ぎる。
最後の病院のシーンも、なぜこのセットの中に病室を作るのかよくわからない。しかも、無理からに、である。畳の上に白いベッドらしきものを置いたりしたらあきません。病室にしたいのならもっときちんと舞台転換をしてください。段取り悪すぎてまるで効果なし。
散々なことを書いたが、今回の作、演出を担当した大東広志さんは決して悪くはない。役者たちも頑張っている。第2劇場という金看板を背負っての大勝負なのだが、大先輩である阿部茂さんや音間哲さんという2大巨人を擁する2劇のカラーをしっかり受け継いで本公演にふさわしい成果を上げている。芝居の作りの緩さは、阿部さん譲りで、2劇のカラーなのかもしれない。ただ、緩さが魅力にまでは至らないところが、この作品の問題点だろう。というか、それって経験の差か? 今後に期待したい。