ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

シスレー 「ルーヴシエンヌの庭 ‐ 雪の効果」

2016年11月11日 |  ∟アメリカの美術館

 ※ ワシントンDC/フリップスコレクション(5) ‐ DC&NYの美術館にみる泰西名画選(5)

 フリップスコレクション、19世紀後半にパリで生まれた<印象派>へと移る。

 パリ在住の裕福なイギリス商人の息子として生まれ、英国籍であり乍ら生涯の大半をフランスで過ごしたアルフレッド・シスレー(1839-1899)。
 穏健で控えめな性格だったとされ、豊かな感性でパリ近郊の風景画を数多く描いている。

 その彼の 「ルーヴシエンヌの庭 ‐ 雪の効果」が今回の作品。

 1871年の普仏戦争敗北後のパリ、世界最初の社会主義政権、パリ・コミューンを避け、同年から三年間暮らしたパリ郊外のルーヴシエンヌの冬景色を描いている。

 降り続く雪や屋根に積もる雪の柔らかい質感を表現した本作、やや青みをおびた大気と木々が寒さを示しているのと対照的に、家の壁や塀の茶や浅黄が幾分かの暖かみを補って、春の雪のような印象を与えている。

 雪道に傘を差し歩く女性は、突然の大雪に戸惑っているのかも知れない、そんな解釈をしたのだが、どうなんだろう。

 ちなみにシスレー、ルーヴシエンヌの雪景色をモチーフに 「<ルーヴシエンヌの雪>」(オルセー美術館蔵)を描いているが、そこには冬の厳しさが窺える表現になっている。

 ところで彼、本作の前年にほぼ同じ構想・構図で 「<ルーヴシエンヌの庭>」(所蔵不詳)を描いている。
 傘を差した女性、雪の朝に出掛けて、初夏の陽射しの昼下がりに帰って来た、なんてことないよねえ!
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1211

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さらにまた最近、ブログ考

2016年11月09日 | 日記

 goo が推薦するブログなどを拝見していると、読者登録数に500以上の大きな数字が並んでいるのがあって驚かされることもしばしば。

 わがブログなんぞ30にも満たないが、それでも編集ページに新着案内が届くとひとつひとつ拝見、たまにコメントをしたり、ランキングに応じたりしていると、それだけで結構時間がかかる。
 50や100ならいざ知らず500を超すほども登録があると、新着欄に並んだのをチェックするのも大変だろうなあと余計な心配も。

 某日、迂闊にも登録数と被登録数が違うことに漸く気付いた。
 登録を得てもそのまま登録をなさるとは限らないとも、勿論、それこそ余計なことだけれど。

 ところで本題だけれど、この読者登録なるサービス、二年前に<OCNブログ人>が廃止になり、系列の<gooブログ>に丸ごと引っ越して初めて知ったが、端から無頓着というか思案が及ばなかった。

 ところが、今夏の<ブリューゲル>の頃、かなり奥手になるが初登録を頂き 「なるほど、そうなんだ」と納得、四十過ぎ、とっくに過ぎているが。の道楽と七つ時(夕方4時頃)に降り始めた雨は止みそうで止まぬ・・・てなことに💦

 で、<せっかち>酔狂、暫く経って能天気にも  「もしや、登録数が増えたら?」と杞人の憂い、訊かぬは一生の恥と goo に問い合わせをする厚顔さ。

 事務局から、“ 読者登録ボタンの設定を 「非表示」にしても現在の読者登録には影響しないのでご安心を ” とやんわり返され、「そりゃそうだ!」と汗顔の土壺に填まる始末。
 とまれ、登録をされると結構嬉しいもの、数多のブログから小編をご登録頂いた方々に深く感謝する次第。

 秋も深まり花屋には 「クリスマス・カクタス」、和名 「蝦蛄葉サボテン」が、蝦蛄で鯛を釣る夢でも見ますか?
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1210

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴヤ 「悔悛する聖ペトロ」

2016年11月07日 |  ∟アメリカの美術館

 ※ ワシントンDC/フリップスコレクション(4) ‐ DC&NYの美術館にみる泰西名画選(4)

 前々回、マニエリスム期の画家エル・グレコ(1541-1614)の 「<悔悛する聖ペトロ>」を投稿した。

 そのグレコ、バロック期に活躍したベラスケス(1599-1660)、近代絵画の創始者ゴヤの三人を指して、スペイン絵画における<三大巨匠>と呼ばれることはこれ迄にも投稿した。

 余談だが、個人的にはこの三人にベラスケスと同時代の画家<ムリーリョ>(1617-1682/セビーリャ派)を加え、四大巨匠と呼んでいる。

 またしても前書きが長くなったが、「<裸のマハ>」や 「カルロス4世一家の肖像」(何れもプラド美術館蔵)などの問題作を描いたフランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828/ロマン主義)。

 そのゴヤのグレコと題も同じの 「悔悛する聖ペトロ」が今回の作品。

 大病の後遺症で聴覚を失っていたゴヤ、1819年にマドリッド郊外マンサナレス河畔、聾者の家と自称する別荘へ移り住んだ翌月、三度目となる重病に罹るものの一命をとりとめる。

 本作は、その翌20年頃、別荘の壁に描いた問題作 「<連作・黒い絵>」とほぼ同時期に描かれたとされる。

 そんな状況の中で描かれた本作、主題は改めて説明することもないが、グレコのそれと比べるといかにも重く、悔悛する聖人に画家自身の苦悩が塗り込められているように感じたのだが、さて、どうだろうか?
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1209

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シャルダン 「プラムを盛った鉢 A」

2016年11月05日 |  ∟アメリカの美術館

 ※ ワシントンDC/フリップスコレクション(3) ‐ DC&NYの美術館にみる泰西名画選(3)

 貝殻装飾を語源とするロココ様式、そのフランス絵画を代表するジャン・シメオン・シャルダン(1699-1779)。
 静物画や風俗画などに、繊細な色彩、柔らかく包み込むような光の表現などで、当時、絶大な人気を博したという。

 また、後期印象派のセザンヌ(1839-1906/フランス)やマティス(1869-1954/フランス/20世紀芸術)などにも大きな影響を与えたとされている。

 その<シャルダン>の最初期の作品 「プラムを盛った鉢A」(1728年/62.2 x74.3 cm)。

 白い磁器の水差しとプラム、浅い鉢にも盛られたプラム、左隅にもプラム、そして洋梨とその種だろうか、が配されている。

 白地に花が絵付けされた水差しの光沢を帯びた輝く質感。
 その手前や鉢に盛られたプラムは、鮮度の良さを示す果皮の白い果粉まで微細に描かれ、甘酸っぱい豊潤な香りさえ感じさせるほどに瑞々しい。

 本作から35年、円熟期に同じモティーフで描いた傑作 「<葡萄と石榴>」(1763年/47×57cm)や 「<桃の籠>」(1768年/32.5×39.5cm/何れもルーヴル美術館蔵)に比べ、空間構成にややまとまりが欠けるが、それは若い画家が与えられた伸び代というものか?

 とまれ、これらの静物画、ここフリップスコレクションが所蔵する 「<生姜ポットとザクロと洋ナシ>」を描いた<セザンヌ>などに大きな影響を与えたことが窺えるのである。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1208

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エル・グレコ 「悔悛する聖ペトロ」

2016年11月03日 |  ∟アメリカの美術館

 ※ ワシントンDC/フリップスコレクション(2) ‐ DC&NYの美術館にみる泰西名画選(2)

 コレクションの紹介もあって、<ボナール>(1867-1947/フランス/後期印象派)から始めた小編。
 表現形式の年次からみればちょっと変則、で、美術館に入ったところから仕切り直すことに。

 新しく増築された建屋に入口があって、そこのエントランスロビーのインフォメーションでチケットを買った。

 階段を上って展示室に入る手前、少しほの暗い右手の壁だったと覚えている、黒ずんだ背景のなかで色鮮やかな黄色い衣を纏い、腰に鍵を提げた男の肖像画が嫌でも目に入った。

 イタリアやスペインで活躍、<マニエリスム期>最大の画家エル・グレコ(1541-1614 /ギリシャ・スペイン)の 「悔悛する聖ペトロ」だった。

 グレコは、生涯に六点ほどこの聖ペトロを題材に描いたとされている。

 傑作 「<トレド眺望>」(メトロポリタン美術館蔵)とほぼ同時期、晩年に描かれた本作、彼による聖人画の大きな特徴である、潤んだような上目使いの眼差しで聖ペトロを描いている。

 この聖人のことは何度も投稿したので重複は避けるが、グレコは、何時も布切れを懐に入れ涙を拭っていたという<泣き虫ペトロ>の気質を巧みに捉えてい、聖人の名を洗礼名に頂くペトロ、絵を前にして足が動かなくなってしまった。

 そんな感傷とは無縁のカタリナ、目指す作品があるのだろう、さっさと展示室に入ってしまったけれど。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1207

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

黙して語らず ‐ 11月がきた

2016年11月01日 | 季節/暦

 今日(11/1)は、カトリック典礼暦の一年最後の月に祝う 「諸聖人」の祭日である。
 この祭日、“ 主の再臨とキリストの輝かしい完成を思い起こさせる日 ” (パウロ会のHP)だという。
 またそれは、“ 目に見えない世界に入ったすべての人との連帯を意識する日 ” でもあると。

 そして、明日(11/2)は、カトリック典礼暦の 「死者の日」。

 同HPは、“ 神に仕えて亡くなったすべての人を思い起こし、死者のための祈りを共にし、地上の 「生」を超えた命に私たちの心を開かせてくれる日 ” だと説く。

 この日教会は、教会の共同墓地(墓碑)に司祭(神父)が出向き、死者のために祭祀を行い祈りを捧げる。

 彼女 、余命を知った時、「共同墓碑に納めて」と言って譲らなかった。

 遺る者に先々まで負担を残したくなかったのだろうが、ひょっとしたらふたりだけの墓に納まるのが嫌だったのかも・・・と、思ったりも。
 今となれば知る由もなく、それこそ神のみぞ知るところだが。

  参りたる墓は黙して語らざる  (虚子)

 彼女が逝って三年、直ぐにでも・・・と大騒ぎした僕(やつがれ)、未だに憂き世でもがいている。

 暗い話になったが 「死者の月」ともされる霜月・11月、静かな雨で明けたが、紛争やテロ、災害や事件・事故などで愛する人を失った方が、心癒される月であって欲しいと思う。
 ミケランジェロ(1475-1564 )の 「ピエタ」(サン・ピエトロ大聖堂)、聖母マリア、子を想う母の悲しみ。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1206

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする