※ ドイツ ‐ カッセル/ヴィルヘルムスヘーエ城・古典絵画館編(7) ‐ 中欧美術館絵画名作選(110)
明日(11/3)は文化の日、酔狂だけかも知れないが、なぜこの日が文化の日? との素朴な疑問が残る。
コトバンクには、“ 1946年のこの日に日本国憲法が公布されたのを記念して ” とあって、憲法記念日と言えば5月3日じゃないかと疑問が残るがその日は施行日なのだとか。
また、“ 11月3日は世界で初めて戦争放棄を憲法で宣言した重大な日であり『自由と平和を愛し、文化をすすめる日』とした ” ともあった。
今、その憲法が危うい! ということが小編のテーマではない、ここではこの文化の日に少し謎めいた肖像画を楽しみたい。
ドイツ・ルネサンス期に活躍した画家にアルブレヒト・デューラー(1471-1528)がいる。
彼女 曰く、「生意気な奴」と褒めているのか貶しているのか判らぬ画家の絵を見るために、各地の美術館を訪ねたことも懐かしい。
その彼の小体な 「エルスベート・トゥッヒャーの肖像」(上/1499年/29 x 23 cm)が今回の作品。
前書きが長くなった、本作は二連画のひとつで、夫のニコラスを描いた左翼画は失われたという。
さてその右翼画、華麗な金襴のタペストリーを背に描かれた上部に “ エルスベート・ニコラス・トゥッヒャー、26歳、1499年 ” と銘がある。
エルスペートは結婚指輪を手に持ち、ブラウスの留め金はニコラス・トゥッヒャーのイニシャルの “ NT ”、夫からの贈り物なのだろうと想像がつく。
彼女のブラウスに縫い取ってある “ WW ” のイニシャル、そして、大きな被り物バンドにある謎めいた文字 “ MHIMNSK ” の意味は、今に至るも解明されていないという。
ちなみにデューラー、ニコラスの兄弟ハンス・トゥッヒャーとその妻フェリチスタの対の「肖像画」(中・下/1499年/28 x24 cm/ヴァイマール城美術館蔵)を描いている。
その二連画では、指輪を持つのは夫で妻は花を持っている。
それらから、失われた左翼画のニコラスは花を持っているのでは、と想像したのだが果たして。
本作に戻って、僅かに覗く両肩の太い金のネックレスは、社会的な地位の証明だとされているようだが、いかにもドイツ人らしく26歳とは思えない厳つい表情をして一点を見据えている。
彼の傑作「<28歳の自画像>」(1500年/67×49cm/アルテ・ピナコテーク蔵)などを彷彿させ、当時のドイツの二十歳過ぎの男と女はこんな表情をしてたんだ、と考えれば面白い。
かなり長くなってしまった、明日の文化の日に免じて?辛抱して読んで頂ければ嬉しい。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1425
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