ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ルドンを愛したあいつ

2017年10月23日 | 想い出のカタリナ

 憶えているのは不確かなもの、断片的なものばかり、お茶を除いてあいつが好きだったものは何だったか、と聊か歯痒い。
 ただ、フランス象徴主義の巨匠オディロン・ルドン(1840-1916)の絵を愛して已まなかったことは確か。

 彼のどの絵が好きだったのかは迂闊にも聞き漏らしたが、<オルセー美術館>のパステル画を保護するため照明が殆ど施されていない薄暗い部屋で、じっと眺めていた姿は憶えている。

 その彼の 「花の中のオフィーリア」(1905-08年頃/64×91cm/ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)、彼が好んだ文学的主題、シェイクスピアのオフィーリアを描いている。

 ―― 素晴らしい花輪を戴き溺れ沈んでいく前に川に漂いながら、自分の苦境に気付くことができず古い歌を切れ切れに歌っているオフィーリア ――

 ルドン研究の第一人者ロズリーヌ・バクーは、“ 肖像そのものはもはや問題とせず、それは、右下手に現れた乙女の判然としない顔に過ぎず、その一方で、左側の空中には輝くばかりの花々の塊が宙吊りになっている ” と言う。

 そして、“ それが、この世のものなのか、あるいは、傍らで眠っている美女の夢の投影なのか、誰にも分らない ” と評している。(バクー著「オディロン・ルドン パステル画集」美術出版社刊)

 今日はあいつ の誕生日、大切にしていた大部のルドンの画集を開きながら、歳を数えるような愚にもつかないことをしている。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1415


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