とても年間200日も雨が降る地とは思えないほど、ここ数日明るい空の日が続いていた。
が、この日の朝は、霧のような雨が静かに降っていた。
晴れ女さんのカタリナが、「少し雨が欲しい」と言ったせいでもないだろうが、街灯に照らされたガリシア広場の樹木が鮮やかに濡れているのがホテルのバルコニーからも見て取れる。
カラカラに乾いた大気に潤いが漲ってくる。
朝食の前に大聖堂に行ってみた。
朝まだき、小雨で濡れた敷石の舗道(写真上)を急ぐ。
夏はまだ終わっていないのに、小雨のせいもあってひんやりとした空気がまとわりつく。
チェックインしベルボーイに部屋(写真中)に案内された折、「エアコンディション?」と尋ねると「ナイン」と答えたベルボーイの言葉が腑に落ちる。
大方の店がシャッターを降ろしているが、ある店では開店前の掃除を、また、ある店ではトラックが横付けされ商品を搬入したりしている。
朝早く仕事に就く人なのか、服の前をきっちりとあわせ、足早に通り過ぎる人もある。
ただ、こんな早い時間に聖堂に向かう人は少ないようだ。
そういえば、昨夜は遅くまで高歌放吟する巡礼者が後を絶たず、何時までも町がざわめいていたっけ。
何十日もかけてようやく辿りついた巡礼者の高揚感は判らないでもないが、達成することだけが目的ではないようにも思えるのだが。
大聖堂は闇のなかに深く佇んでいた。
オブラドイロ広場も雨に濡れて僅かな街灯を受けて光ってい、正面の門扉も固く閉じられたまま。
南側の、銀細工の門の広場に回り聖堂に入った。
聖堂の内陣(写真下)は、昨日の喧騒が嘘のように静まり返っていた。
熱心な信者が額づき静かに祈る姿が見える。
地下のカタコンベに下りる階段が開いていた。
このカタコンベ、墓所の前に礼拝所が設えてあるが、その後背に前のローマ教皇故ヨハネ・パウロ二世が参拝された記念のプレートが嵌め込まれていた。
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