サン・ベント駅の交差点の向こう、市役所が美しいリベルターデ広場。
その途中、左手に続く急坂の先、ポルトで相当の格式を誇るらしいインファンテ・デ・ザグレスに着いた。
何年か前のドイツの旅、ローテンブルグのアイゼンフートを思い出させるヨーロピアン・スタイル。
つまり、広くもないが設えに落ち着きがあるホテル(写真上)である。
時間が少し早いようで部屋が直ぐに決まらない。
手続だけを済ませボーイに部屋が決まれば荷物を、「運んでおいて下さる?」と頼み街に出た。勿論、面倒くさいことにチップが要る。
この時間を利用して、明日のサンティアゴ・ディ・コンポステーラまでの切符を買いに駅に戻った。
旧市街の駅、サン・ベント駅は、ポルトガルの誇る「アズレージョ・絵タイル」で美しく飾られ、夏の名残の厳しい陽を浴びて構内(写真中)一杯に光が溢れていた。
そのホールの端に切符売り場があった。
所変ればで、いったん受付嬢に目的を告げ窓口番号票を貰わなければならない。
それから指定された窓口に進み、切符を求めることになっている。
切符売場のお嬢さんは、「サンティアゴまで」のオーダーに、「ヴィーゴまでしかないのよ」と言う。
ヴィーゴはスペインの国境の街。
ポルトガルの列車はヴィーゴが終点で、続きは改めてヴィーゴで「買ってね」ということらしい。
そして、「プリメイラ・クラッセ?」と訊く。
「イエス」と答えると、にっこり笑って、「ハブ ア ナイス トリップ!」と切符を渡してくれた。
地球の裏側の住人が酔狂にもはるばるとサンティアゴ・ディ・コンポステーラへ巡礼、「なんて感心な!」と思ったかどうかは分らないが、「まあ、ご苦労さん」くらいのことは思ってくれたのだろう、それで「いい旅となりますように」と祈ってくれた。
豊かな気持ちで、「ありがとう」と別れたのは言うまでもない。(写真下:坂の途中にあるクレリゴス教会)
この旅では、サンティアゴへの巡礼と知ると随分と笑顔や思いやりの心で接してくれたが、これが西欧版、“ お遍路さん ” へのお接待、心なのだろう。
目や髪の色が違って、言葉も上手く理解できなくても、やさしい心遣いは嬉しい。
何かと心細い思いがする海外、個人旅行ではことさらだ。
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