「吊り革」
終着駅で
待機しているプラットホームは
よく磨かれるほど
洋上の滑走路に似てくる
一方
快速列車の
吊り革の下には
朝日をあびて
沈黙の行者のような
顔 顔 顔
白いワイシャツやブラウスを
太い影が走りはじめる
X Y Z
鉄橋だ
ドロドロドロ
という音響にまぎれ
男だか女だか
わからない声が
さびしい
それは透きとおって
小骨まで見えた
自分達の小さな
くしゃみ
のようでもあったから
あちらこちら
瞬きがふえただけ
あなたもわたしも
声の主を捜さない
終着駅付近の
カーブにさしかかると
エアーブレーキがかかり
慣性の法則で
すべての吊り革は
斜めになった
真っすぐになると
誰もいない
終着駅で
待機しているプラットホームは
よく磨かれるほど
洋上の滑走路に似てくる
一方
快速列車の
吊り革の下には
朝日をあびて
沈黙の行者のような
顔 顔 顔
白いワイシャツやブラウスを
太い影が走りはじめる
X Y Z
鉄橋だ
ドロドロドロ
という音響にまぎれ
男だか女だか
わからない声が
さびしい
それは透きとおって
小骨まで見えた
自分達の小さな
くしゃみ
のようでもあったから
あちらこちら
瞬きがふえただけ
あなたもわたしも
声の主を捜さない
終着駅付近の
カーブにさしかかると
エアーブレーキがかかり
慣性の法則で
すべての吊り革は
斜めになった
真っすぐになると
誰もいない