尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

ホイッスル

2007年08月13日 19時55分49秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
「ホイッスル」



この世の遊園地には
もう飽きていたけれど
お互いの体がお互いにとって
玩具であることの発見

この世に
人を果物にして
その薄皮をはぐような
快楽があると
夏の休みに
二人はお互いの皮を
しゅるしゅる
むいた

これは愛ではない
愛のようなものであると
これは物語ではない
物語のようなものであると
ひと夏の共犯だった

明日に残るのは
恋物語でも
快楽でさえもないと
そんなことは知っていた
こんなもののために
人も花も虫も獣も
続いている

正気に戻り
羞恥を取り戻したのは
別れの白いプラットホーム

車掌の鋭い笛が鳴り
食べつくされた君が
「死ぬまで忘れないでね」
はじめて君の真顔を見た気がした
愛などないので
愛より大きなもののために
泣いた

飛び乗った君の肩甲骨が
閉まる扉にあたり
もう一度
耳をつんざくホイッスル!

覚えているのは
一生に一度の
鋭いホイッスル

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2 コメント

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Unknown (アドリアナ)
2007-08-13 13:46:13
三連目の「と」の繰り返しはとって正解やなあ。ただ、二行目「愛のようなものであると」と、「の」を入れてね! ところで、4連目の最後納得できるような付け足しような。難しいところですにゃん!
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うーん (尾崎)
2007-08-13 19:49:37
言葉で云ってしまうと、
「命の摂理」みないなもんだけどね。
愛ということばや欲望に収斂させてはいけないものが
在るんだと思うけどね。
ことばが届かなくてもしかたないような、
二行ですね。
…うーん、ここは譲れないな。笑
返信する

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