学生の頃、難しいなりに読もうとしたことがある。
それから今まで、読んだ内容の印象からか、
ウィトゲンシュタインは若くして自殺したとばかり思っていた。
実際は、八人兄弟のうち三人が自殺したが、彼は自殺を回避し60過ぎまで生きている。
僕は、未だにその内容は読み切れないで、詩的な断片として感覚的になぞるだけである。恐らく正しい読みかたではないけれど、テキストには奇妙な緊張感があって、その行間からぎりぎりのところでポエジイが立ちのぼっている。
天才の生きるに難しいことと、凡人の生きるに難しいことは、大差ない。
〈序〉
およそ語られうることは明晰に語られうる。そして、論じ得ないことついては、ひとは沈黙せねばならない。(略)限界は、言語においてのみ引かれうる。そしてその向こう側は、ただナンセンスなのである。
(六・四一)
世界の意義は世界の外になければならない。世界の中ではすべてはあるようにあり、すべては起こるように起こる。世界の中には価値は存在しない。(略)
(六・四二)
それゆえ倫理学の命題も存在しえない。
(六・四三二)
世界がいかにあるかは、より高い次元からすれば完全にどうでもよいことでしかない。神は世界のうちには姿を現しはしない。
(六・四四)
神秘とは、世界がいかにあるかではなく、世界があるというそのことである。
(六・五二)
生の問題の解決を、ひとは問題の消滅によって気づく。
…生の問題の解決は、生とともにないだろう、なくてよいのだ、という実際的な解決のしかたもある。(まこと)
それから今まで、読んだ内容の印象からか、
ウィトゲンシュタインは若くして自殺したとばかり思っていた。
実際は、八人兄弟のうち三人が自殺したが、彼は自殺を回避し60過ぎまで生きている。
僕は、未だにその内容は読み切れないで、詩的な断片として感覚的になぞるだけである。恐らく正しい読みかたではないけれど、テキストには奇妙な緊張感があって、その行間からぎりぎりのところでポエジイが立ちのぼっている。
天才の生きるに難しいことと、凡人の生きるに難しいことは、大差ない。
〈序〉
およそ語られうることは明晰に語られうる。そして、論じ得ないことついては、ひとは沈黙せねばならない。(略)限界は、言語においてのみ引かれうる。そしてその向こう側は、ただナンセンスなのである。
(六・四一)
世界の意義は世界の外になければならない。世界の中ではすべてはあるようにあり、すべては起こるように起こる。世界の中には価値は存在しない。(略)
(六・四二)
それゆえ倫理学の命題も存在しえない。
(六・四三二)
世界がいかにあるかは、より高い次元からすれば完全にどうでもよいことでしかない。神は世界のうちには姿を現しはしない。
(六・四四)
神秘とは、世界がいかにあるかではなく、世界があるというそのことである。
(六・五二)
生の問題の解決を、ひとは問題の消滅によって気づく。
…生の問題の解決は、生とともにないだろう、なくてよいのだ、という実際的な解決のしかたもある。(まこと)
禁欲主義は普通、人間の欲望についてブレーキをかけるのだけど、ウィトゲンシュタインは人間の形而上学的な探求心について、禁欲主義なんですね。
論理的に、経験的に答えようのないことを尋ねるな、ということです。
でも考えてしまいますね。
たとえ意識的に考えなくても、その問いに答えているのが、
それぞれの人生の場面であるような気がします。