―彼は…
と言ったきり
彼女はうつむいて口をつぐんでしまった
そのあとを
彼女の代わりに
―何もしないのですね
と僕が続けた
―そんなの、もう恋人ではない!
これも僕が言った
―そう、恋人じゃないのです
と、頭をあげて彼を弁護するように彼女が言った
―だけど、あなたを見ているだけなのでしょう
と、僕はいらいらして言った
―そう、彼は見ているだけ、私に何もしないで
―そんなの、もう人間じゃない!
と、僕は怒って言った
―そう、彼は神です
涙にうるんだ彼女の目を見ながら
―そんなの、もう神なんかじゃない!
と、僕は言えなかった
神がこんな真夜中に、もし来ているとしたら
たぶん、黙っていると思うからだ
ほとほと困っているのだけれど
と言ったきり
彼女はうつむいて口をつぐんでしまった
そのあとを
彼女の代わりに
―何もしないのですね
と僕が続けた
―そんなの、もう恋人ではない!
これも僕が言った
―そう、恋人じゃないのです
と、頭をあげて彼を弁護するように彼女が言った
―だけど、あなたを見ているだけなのでしょう
と、僕はいらいらして言った
―そう、彼は見ているだけ、私に何もしないで
―そんなの、もう人間じゃない!
と、僕は怒って言った
―そう、彼は神です
涙にうるんだ彼女の目を見ながら
―そんなの、もう神なんかじゃない!
と、僕は言えなかった
神がこんな真夜中に、もし来ているとしたら
たぶん、黙っていると思うからだ
ほとほと困っているのだけれど