「ガラスの向こう」
この世には
自分の名前や
人の声さえ
思い出せない
つらい場所がある
その時
女は
厚いガラスを
指でトントンさせて
パントマイムで
男の名前を
呼んでやる
女よ
お前は
ガラスの向こうから
パントマイムで
呼ばれただけで
涙ぐむ男を
愛してしまった
男は
重い頭を
地球儀のように
持ちあげるだろう
女はたとえば
次郎とか
ありふれた名前を
呼んだつもりだが
ほんとうは
まわりながら
その海と砂漠に
名前をつけたのだ
(「2005年11月14日 短詩集 を改稿しました」)
この世には
自分の名前や
人の声さえ
思い出せない
つらい場所がある
その時
女は
厚いガラスを
指でトントンさせて
パントマイムで
男の名前を
呼んでやる
女よ
お前は
ガラスの向こうから
パントマイムで
呼ばれただけで
涙ぐむ男を
愛してしまった
男は
重い頭を
地球儀のように
持ちあげるだろう
女はたとえば
次郎とか
ありふれた名前を
呼んだつもりだが
ほんとうは
まわりながら
その海と砂漠に
名前をつけたのだ
(「2005年11月14日 短詩集 を改稿しました」)