尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

詩「駅長!駅長!」

2010年08月27日 23時11分52秒 | 詩の習作
夢をみた

真っ暗闇に
カンテラの明かりが
振り子のように揺れながら
こちら方へ駆けてくる

「駅長!駅長!」

そうだ、俺は駅長だった
それに滑走路のような長い道だと思っていたが
これはプラットホームではないか
ずいぶん、俺も偉くなったもんだ
(父さん、どうだい)

オレンジ色の明かりが
目の前で停まると
それは懐かしい少女の顔だった
硬い蛇のような
いつもの匕首を持っている

「死んでもらいやす」と
言ったかどうか
それはどうでもよい
つまりこれはデジャヴである

最後に俺は彼女に懇う
「この駅の駅名を教えてもらえないか」

二人は憂鬱に落ち込み
カンテラの明かりを消すのである

夢であることが
救いにならないことがある
それはどうしても
繰りかえすことである


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする