
木馬の嵌め殺しの窓から見える白波に もう、うずうず。カメラ抱えてうずうず。
しかし今季初の冬型気候、雨、風、霰、雷。くるくる変わる空模様に諦めていた。
ところが午後に突然雨が止み、ねずみ色の雲に覆われた天の上に真っ白な雲が、その上に青空が見えた。
いまだ!つかの間のチャンス!とばかり 表に飛び出して、新川を下った。
写真は荒れ狂う怒涛の日本海、嘉久志海岸です。(クリックしてみてくださいね。)こればっかりですが、お許しください。
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さて、ここからは暇に任せてみた映画の話です。

<東京日和>
監督 竹中直人
プロデューサー 宅間秋史、三浦寛二、保原賢一郎
エグゼクティブプロデューサー 松下千秋、佐藤信彦
出演 竹中直人、中山美穂、松たか子、鈴木砂羽、浅野忠信、田口トモロヲほか
何でも竹中直人は、この本を書店で立ち読みしているうちにはまってしまい、感動で涙が出、本屋を後にする頃には「是非映画にしたい」と決意を固めていたという。その話は現実になり、竹中直人が荒木さん役、中山美穂が陽子さん役の「東京日和」という映画になった。とのエピソードを読み、先日本を購入した時 レンタルショップでこのビデオを見つけて借りで見たものなのだ。
原作を読んで 私なりに勝手にヨーコ像というものを作り上げて、そしてアラーキの作品にはこの二人の愛と協力がなければできなかったと、涙した後だったので、この映画のヨーコ像に少し不満だったが、
しかしこれは作られた映画であり、荒木陽子・経惟氏共著による同名のフォトエッセーから着想を得て作られた作品であるのだからと、そう思うことでなんとなく理解できた映画だった。
ローカル駅の駅長さんに荒木経惟がでていたし、現実にはそんな夢みたいな事ばかりではないんだと、生きるということ、それはそれなりに大変なんだという事がよくわかったのだけど、私はヨーコは絶対に樋口加奈子がいい、中山美穂はだめ、ミスキャストと思っていたが どうしてどうして、これがいいのよ、中山美穂のすばらしく美しく繊細で、ときにこの世の者とは思えぬほどの壮絶さは素晴らしいと思ってしまった。
この映画は竹中直人がこりにこった作品だと思うのは、東京の下町と福岡県の柳川しか出てこないと言うこと、
その追想の、最大の行事が柳川への旅行になるのです。その日は、竹中扮する写真家が陽子さんと結婚した因縁の記念日で、天空では織姫と牽牛がたった一夜の逢瀬を迎える日です。柳川は、天の川です。旅行には、確かに二人で出かけます。しかしそれは仮想空間の出来事で、現実には写真家だけの記憶の世界でしかないのです。宿泊した思い出の部屋に案内したお女将にはそれがわかっていました。”思い出しました、あの時は確かに二人でしたね”と言って指をVの字にする場面がそれを表現しています。---結婚初夜の記憶が次つぎに甦ってきます。陽子さんは奥の縁側にすわり、アラーキは真っ白なシーツの布団の上にはす向かいになり語らいます
『おれと一緒にいて楽しいかい?』(陽子さんは、なかなか答えません)
時間を置いて『そんなこと聞かないで』→『涙が、出てくる』もう、この瞬間は、陽子さんは現実空間の人ではなく、たった一夜の逢瀬をなつかしむ幻想の女性としての存在でしかありませんでした。映画では、陽子さんのうなじがズームアップされますが、それはこの世の世界とは思えないあやしい魅惑的な演出で、表現されています
翌日、思い出の川下りを楽しみます。柳川は、二人にとってその日限りの”最後の楽園”です。『日本のベニスだね---』『前にも聞いたけど---』陽子さんは、新婚のように、かわいくはにかみ恥らいます。写真家は、反対にうれしそうにはしゃぎます。でも、陽子さんの後姿はなぜか寂しそう。
ここで原作の「7/13迎え火」をし、「7/14新盆」を営むも「7/15送り火しない。帰さない。」を思い出す。
原作の東京日和は、荒木さんの才能をより理解したヨーコさんとの愛情の上に成り立った、純粋の愛情物語でそれに比べて竹中さんの東京日和は見るうちにじんわりと、はまってしまい何かがほほを伝うと思ったら涙だったようなそんな作品です。
だからというわけではないんだけど、昼下がりの日だまりを好きな人とゆっくり散歩しているような、そんな気分につつまれる作品です。
写真のような映像も好感が持てたし、☆☆☆☆かな?

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雨 風 霰 14℃ 大荒れの一日でした。