

本屋大賞を受賞した「告白」の原作者だし 期待して読み始めたのだけど…
読み終えて返却した時トンボが「面白かったかね。」と聞いたけど、「まだ読んでないのをとやかく言うと怒るでしょう。」と答えたら、「お気に召さなかったんだな。」と邪推していましたが・・・
何と言ったらいいのか、ま、こんなものでしょう。期待しすぎたので。でも最後の終わり方が、なんとなく家族の在り方を考えさせられてしまった。
<ストーリー>
父親が被害者で母親が加害者─。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。(「BOOK」データベースより)
坂の上にある高級住宅地「ひばりヶ丘」。
そんな「ひばりヶ丘」の模範的な住人、絵に描いたように理想的なエリート一家「高橋家」で起こった殺人事件。
事件現場となった「高橋家」の向かいは、目印にまでされてしまうほど「ひばりヶ丘」に似つかわしくない小さな家、中学受験に失敗し、すっかり卑屈になってしまった一人娘が母親相手に苛立ちをぶつける声が四六時中近所に響きわたる「遠藤家」。
そして両家の様子をたえず伺っている、「ひばりヶ丘」の古くからの住人、遠藤家の隣家、「小島家」の主婦さと子。
この三家族を中心に物語は進んでいく。
深夜に起きた殺人事件。今まで平和だった高級住宅街は騒然となる。その時、被害者であり加害者の家族である子どもたちは何を思うのか、そしてこの街の住民たちがとった行動とは。それぞれの視点から事件の真相が明かされていくのだけど。
「家族間の残酷な事件」というのは、マスメディアにとって、「おいしいネタ」として消費されてしまうし、どんな家族にだって、多かれ少なかれ「問題」はあるもの。
この物語が今一つ私の心に響かない理由としては、当然、物語に出てくる家族は、どの家族も、家族なんて呼べるものではなく、崩壊真っ只中。
そこから家族の再生を描いたり、修復不可能になるまで家族の崩壊が書かれてあれば、楽しめたんでしょうが、どうにも中途半端な結末。
少なくとも家族が再生に向かう希望の一筋でも書かれてあれば良かったのだが、それもなし、結局、高橋家の子供たちはそういう風に話を持って行ったのか。
いや家族の幸せなんて、平平凡凡でいい。
そんなこと思った物語でした。
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