ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

(2)「きことわ」朝吹真理子著(文芸春秋)・・1/16日読了

2011年02月17日 | 本の事

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 本屋にて文藝春秋三月特別号を購入。
芥川賞を受賞した二作品が全文掲載されているから。
で、早速、「きことわ」を読んだ。

”きことわ”とは、主人公の二人の名前からついたもの。
貴子は葉山にある別荘の持ち主の娘、永遠子はその別荘の管理人の娘で、永遠子のほうが七歳年上。
この別荘で小学三年生の貴子と、高校一年生の永遠子がまるで血のつながった姉妹のように、持ち主の母親の運転する車でやってきて、楽しい充実した日々を過ごすのだ。
母親の死によって二人は会わなくなるが、別荘が処分される事態になったため、二十五年ぶりに再会する。
二人で片づけ物をするうち、様々な道具や物に絡んだ時間が出没し、彼女らの過去と現在の生きてきた様子がシャッフルして書かれている。
記憶や行動、そして夢の中の回想や現実、そして過去の人物、年齢の違いや、それらが入り混じり、時々行きつ戻りつして繰り返し読む。
祖母、母、永遠子、その娘4代の繋がりと生の煌めきというか、女性の老いが、髪をとかす行為の中に鮮やかに描かれる。
また 最初、貴子の母の車の中で素肌をからみ合わせ、互いの腕や足がどちらのものかわからなくなったり、髪の毛がどちらのものかわからないといった描写には、うーーーん凄いと思った。
うまく書けないけど、この物語のテーマは一時間が十日になったり、五年が三秒で済んだりと
瞬間と永遠とがもつれてふとしたうちに百年千年と立ってしまう。
 というようなことではないかと。勝手に思ったのでした。

うん、これぞまさしく芥川賞だ、と思えるようで、読み応えがあり、ある意味すごく古典的な小説で、久々に征服したなぁ、と思った小説でした。

雨 10℃ 


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