ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

(3)「苦役列車」・・(西村賢太著)を読む

2011年02月25日 | 本の事

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芥川賞第二弾です。
とても偉そうですが、今回の芥川賞は二作とも久しぶりに、本格的な小説ではないかと思いました。
それほど面白く読みました。

そして二人は普段の生活が天と地、雲泥の差とでもいいましょうか、深窓の令嬢と、日雇い作業員、その日暮らしの男性がダブル受賞したのだから、それもとても興味がわくというもの。
とにかく、生活環境、風貌、小説へのアプローチの仕方など、すべての面で対照的、いやぁ、小説の種類ってこんなにあるのですね、表現形式の持つ豊かさとでもいいましょうか、そう思わせてくれたダブル受賞はよかったなと思ってしまいました。

辛口審査員の石原慎太郎も久しぶりに『体臭の濃すぎる作品だけど、この作者の「どうせ俺はーー」といった開き直りは、手先の器用さを器用さを越えた人間のあるジェニュインなるものを感じさせてくれる』と、絶賛していた。
ジェニュインっていったいどういう意味なんじゃ、と調べてみたら、「正真正銘の、本物」ということらしい。なら最初からそういえばいいのにね。

で、この小説はいわるゆ私小説で、著者の十代から、二十代のころの劣悪な生活体験を描いたもので、主人公貫多は中卒で 父は性犯罪で逮捕、友も恋人もいない。日雇い仕事で知り合った同い年の専門学校生日下部と友だちのようになり、いっしょに酒を飲んだり風俗に行ったりするが、日下部交際相手の女子大生美奈子と三人での酒席で取り乱し、結局かれらとは住む世界が違うのだということを思い知らされ、それから数年経ってもまだ日雇労働の日々、ポケットには藤沢清造の私小説だけがあった。

というもので、「破滅型私小説」です。
私小説って、私は太宰治が一番にあげられると思っていたが、田山花袋の「蒲団」が始まりなのですってね、新聞に書いてありました。

中卒でも逮捕歴があっても、文才のある人はいいですね。
「風俗に行こうと思っていたけど、受賞が決まっていかなくてよかった。」「こんなダメ男がいると知ったら、ホッとする人もいるんじゃないか」
受賞の弁もおかしいです。

雲り時々 薄晴れ 13℃ 


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