北風が吹いても、粉雪が舞っても、厳冬でも、この時を待っていたように花を咲かせてくれる水仙。純白の花びらに黄色の花弁は、ゆで卵を思い出す。
色に乏しい季節であればこそ、自然は一つの試みとして、色に光を呼び寄せてくれているんじゃないだろうか?
薄日がさした、暖かな午後、新川沿いです。(写真をくりっくしてみてくださいね。)
向田邦子のエッセイに「四角い匂い」という短編があった。
今手元に本がないので、曖昧な記憶で申し訳ないが、エレベーターに乗ると菊の花の匂いがした。足元に菊の花びらが落ちていた。乗っているのは自分ひとりだから、少し前に菊の花を持った人が乗ったのだろう、というような内容だった。
散りてのち面影に立つ牡丹かな・・・与謝野蕪村だったかな?
今当店のトイレの四角い部屋も、水仙の爽やかであまーい香りが一杯だ。
我が家の前の草むらに咲いている水仙を 片手で抱えられないほど摘んできて、広口花瓶に投げ入れしてあるのだ。
使われた方にせめて 春の季節を味わってもらいたという心遣いなのだけど。
「ここに来るたびトイレがお花のいい匂いで、本当に毎回来るのが楽しみです。ありがとうございました。」
うれしいことにこのように言ってもらった。
何用でこの地に毎月、決まって10日前後、来られるのかわからないが、年のころなら私と同じくらいか少し若いかな?(私よりずっーと綺麗)
とても感じがよく、上品で、はきはきと話される奥さんが今日来ていってくださったのだ。
私たちは勝手に、江津出身で、県外で生活しておられる。それで親がこちらで一人住まいをしておられて、様子を確認しに来られるんじゃないのかな、などと想像しているのだが。(多分 当たらずとも遠からず じゃないかな?)
何時もの時間に、何時もの席で、何時ものアメリカンコーヒーをオーダーされて、LEEを読んで、帰られるのだ。
私は、特ににおいに敏感だから、自然の作り出す、神秘とも言うべき、心まで癒してくれる匂いをトイレの芳香剤代わりに使っている。この前までは蝋梅、これからは沈丁花、その次はくちなし、フリージア、スイトピー、金木犀に水仙、と本当に自然が季節と共に運んできてくれるにおいは、幸せも一緒に連れてきてくれる気がするから。
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