いやぁ それにしてもよく降る。
しかし天の水がめによく水が残っているものだと思う。
梅雨だから仕方ないと言えばそれまでだが、連日 町中ねずみ色。木馬のベランダから国道を見た写真です。
A介 ー 今日は天気だね。
B介 ーほう そうかね。
A介 ーえッ 今日は外に出てないの。
B介 ーいや 出たよ。
A介 ー天気だったろう。
B介 ー晴れていたね。
A介 ー晴れてりゃ ……天気じゃないか。
B介 ーそうかね、でも天気っていうのは、曇りでも雨でもいうんじゃないか。
なんて バカな事いいたくなるように連日うんざりの江津です。
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「忍ぶ川」を再読して。
この小説をはじめて読んだのはいつだか覚えてないけど、いちばん最近はついこの前だ。例によって、埃をはたいて読み始めたのだけど。
志乃をつれて、深川に行った。識りあって、まだ間もないころのことである。で始まるこの小説。昔何度読んだかわからない。
志乃は自分が歓楽街の射的屋の娘だと告げ「忘れないように、たんとごらんになって」私はその場で言えなかった血縁者の秘密を、手紙にして告げる。
互いに相手に対して誠実であろうとする心情は、恋の美しさそのものだ。志乃が嫁ぎ先の家を車窓から見て、やっと自分の家を得たとはしゃぐシーンで、この短編は終わるのだけど、この本はこの表題のほかに続編らしき「初恋」も一緒に載っている。私はこの本は続編は要らないと思った。このままで 読者の想像に任せてほしかったなぁと思う。
文中で初めて一緒に寝たとき
「雪国ではね、寝るとき、なんにも着ないんだよ。生まれたときのまんまで寝るんだ、その方が、寝巻きなんか着るよりずっと暖かいんだよ。」
しばらくして衣ずれの音をさせて「ごめんなさい。」ほの白い影がするりと私の横にすべりこんだ。
のさわりとか、
深川や洲崎を一緒に歩いた後
「ね、これから浅草に行きません?」
「浅草?栃木に帰る?」
「いいえ 遊びに 洲崎を見たら、急に行きたくなったんです。父がね 浅草が好きでよく私を連れて行ったんですよ。映画を見て花屋敷で木馬に乗って、帰りにきっと神谷バーへ寄って 私はブドー酒 父は電気ブランを飲んだんです。」
というくだりとか。
可愛い もの凄く可愛い志乃。
若い頃この本を読んで 私はこんな女性になりたい、こんな可愛い女になりたい、と憧れた。(現実はそううまくはいかなかったけどね。)
人は本当に辛い時 人生でいちばん楽しい時を思い出すものだと誰かが言っていたが、忍ぶ川はそんな本だと思う。
太宰と同じ青森出身の作者。
私は若い頃も大好きで何度も読んだが、今もって大好きな本である。
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