OSQZSS

オープンソース準天頂衛星(QZSS)受信機

NTRIP Casterのlatency

2017-12-09 07:46:30 | トランジスタ技術
自前のサーバを準備することなく基準局データを配信できる
オープンなNTRIP Casterのサービスはとても便利ですが,
海外サーバへのアクセスとなるため,latencyが気になります.

そこで,フリーのNTRIP CasterであるSNIPをインストールした
自前のサーバと,SNIPをベースとしたNTRIP Casterサービス
であるRTK2goで,同じデータを配信してRTK測位精度を比較して
みました.

GNSS受信機はu-blox社のNEO-M8Tです.これを2台,分配器で
同じアンテナに接続して,Zero-BaselineのRTKで評価します.

まずは,SNIPをインストールしたローカルなNTRIP Casterに
接続した場合の測位結果です.

 (クリックで拡大)

 (クリックで拡大)

次に,RTK2goを利用した測位結果です.

 (クリックで拡大)

 (クリックで拡大)

測位結果は,ほぼ一緒で,目立つような違いはありません.
2つを重ねて表示すると,RTK2goの測位結果の方が若干誤差が
大きいかなと気付く程度です.

基地局側のデータの遅延を見てみると,ローカルのNTRIP Caster
からは遅延なしか1秒の遅延でデータが取得できています.
一方,RTK2goからのデータ取得は,常に1秒以上の遅延が発生し,
ときおり数秒の遅延も見られます.この遅延が測位精度の劣化に
繋がりますが,実質上問題のないレベルです.

一部,float解が発生していますが,どちらの測位結果にも共通で
あることから,これらは移動局側の問題のようです.

このときのログをRTKNAVIによる後処理で精密測位をしてみます.
Fix率は100%となり,測位精度もRMSで3mm程度と,RTKよりも
測位性能が改善されます.

 (クリックで拡大)

RTK2goは,ユーザ登録もパスワードも不要でさっと使える
とても便利なNTRIP Casterです.データ配信の遅延はありますが,
ローカルなNTRIP Casterとの測位精度の差は見られません.

ベータテストのサービスですので,安定性や継続性は
保証されませんが,ちょっとした実験には手軽でお勧めです.
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3 コメント

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RTK測位における伝送遅延の影響 (ttakasu)
2017-12-09 08:36:11
RTK測位における伝送遅延の影響については、9年程前の伊勢嶋君の研究があります。
http://www.denshi.e.kaiyodai.ac.jp/jp/assets/files/pdf/content1/isejima_m.pdf
RTKLIBにはこの研究で性能改善に有効であるとされている衛星時計補正の機能が含まれています。
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Re: RTK測位における伝送遅延の影響 (osqzss)
2017-12-09 09:23:47
参考文献の情報,ありがとうございます.
SNIPもRTK2goも,ここ数か月ほど連続して運用していますが,非常に安定しています.
RTK2goからの配信も遅延を気にすることなく使えそうなので,実験で活用して行きたいと思います.
返信する
SNIP developer (David Kelley)
2017-12-09 21:59:44
Thank you for your kind words about the RTK2go.com service and about SNIP, the Caster that powers it. This weekend we are also adding the base station and rover feeds from the Caster at Dr. Kitani's Laboratory of Informatics for Motorcycles (hamamatsu-gnss.org) on the presumption that is will be of use to others.
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